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18※
「あ……っ、ん、ハッ……!」
繰り返される愛撫に酔わせられながら、その快感に気をとられていた間に引き抜かれた指。
「やっ……、あ、しゅ……い、ちっ……」
「大丈夫。力、抜いて……?」
両手で腰を支えられ、ゆっくりとあてがわれた自身が少しずつ、道を確かめる様に慎重に中へと入ってくる。
怖さはもちろん少なからずはあったけれど、それでも今を止めるなんて事はしたくなかったから。
「は、あっ、ん……しゅ、いちっ……、あっ!」
室内に響く濡れた音に追い上げられ、腰を使い始めてきたその律動に突き上げられ、たまらず唇からは嬌声が零れ落ちる。
奥へ奥へと進まれる度、ジワりと内襞を触れていく感覚に、電流でも走るかの様にそれだけで背筋が鳴く。
いつから流れていただろう涙は枯れる事など知らず、頬を伝い落ちてはまた溢れ出していく。
「つっ……!」
「あ…っ、ん、しゅ……い、ち……?」
チュッ、と突かれる度に鼓膜を揺さぶる情事の証。
込み上げてくる欲求をすぐにでもまた吐き出してしまいそうで、ぼんやりとすっかり鈍った思考は何の役目も今だけは果たせない。
「ど、した……?」
けれど唐突に止められた動きと、共に零された苦しげな声に、上気していた顔をそっと秀一へと向ける。
「いや……、なんでもないよ」
僅かに寄せた眉、けれどなんでもないと言うだけで打ちつけをまた再開してくる。
「あっ、ま、てっ……、ん……っ! はっ……」
言い終わるや否や流され始め、ようやく秀一が見せた先程の姿の意味に気づけても、言葉になってくれず喘ぎばかりが歯列をすり抜けていく。
「あっ、あっ……はっ、ん……っ」
熱く甘ったるい声を繰り返していきながら、手探りで目当ての存在を見つけて掴む。
「咲……?」
腰へと添えられていた手、そっと自分の唇に引き寄せていくと、驚いた表情を浮かべる秀一と目が合う。
「ん、ふっ……は、ぁっ……」
包帯を浸食していく赤は染み渡り、その掌に一度頬をすり寄せて。
「さ、き……っ」
「ん……っ、は……ぁっ」
当然のように舌を差し出して、丹念にその男らしく骨ばった手を舐め上げていく。
感じた血の味ですら愛しくて、決して離したくないと思う。
「ん……っ、はっ」
指の一本一本にも舌を這わせ、伏し目がちに口内へ含んでは、ピチャりと音を上げながら吸い付いていく。
「あっ……、ん!」
包帯ごと舐めて湿らせた掌に唇を落としたところで、今まで止められていた貫きが突然起こった事に、思わずビクりと身体が跳ねる。
「咲……ッ、ありがとな」
「ん、あっ……あっ! やっ……、はっ」
するりと離れた手はまた腰へと添えられて、激しさを増す突き上げに強く揺さぶられる。
息も絶え絶えになりながらギュッとまた抱き付いて、狂おしい程の快感に身を委ねていく。
「この先もずっと……、一緒にいてくれ」
「あっ、んっ……は、あっ!」
耳元で熱を持った声に囁かれ、それにすらもうどうしようもなく感じてしまい、否定する気もなく素直に委ねていく。
「ん……っ、ふ、は……」
顔を上げ、自分から唇を重ねて舌を絡ませていきながら、どちらとも分からない唾液が伝い落ちる。
「あっ、あっ……、い、ちっ、……しゅ、いち……あっ! ん、あっ、あっ……!」
「此処にいる。ずっと、側にいる……」
高ぶる気持ちは抑えがきかず、本能に従い忠実に快感を貪っていく己を止める術など、始めから持ち合わせてはいない。
「あっ……! そ、こは……あっ、んっ……やっ、ぁっ」
一番イイ箇所を貫かれていよいよオカシクなっていき、秀一は汗を滲ませながら色気のある笑みを刻み込む。
その瞳に捕らわれて、離れられない。
「可愛いよ」
「あっ……、な、ことっ……、ゆ、うな……あっ!」
違う、もう……離れたくねえんだ。
「咲……、愛してる」
いっそう繋がりを深く、意識を手放してしまいそうな程に強く求められ、甘美な波に浚われながらも心地良かった。
「あっ、しゅっ……い、ちっ……あっ! も……、やっ、あっ……!」
呼ばれた名前、いつからか俺の心を落ち着かせていたその声に、お前に……
「はっ、あ、あっ……、んっ、あぁっ……!!」
いつの間にか、惹かれていたんだ。
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