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「具合はどうだ?」 「父さん! それが……」 「来るな!! 来るなアァァッ!!」 熱を持った身体に、単なる風邪だと納得出来なかったあの時。 男の言葉に隠されていた、真実。 こうまでしても、足りなかったと言うのか? それでもまた見つけ出して、そこからコイツをどうするつもりだった? 殺すのか? そうする前に死んじまうかもな。 もう十分じゃねえか、ここまでなんなきゃいけねえようなこと、コイツがしたか? なんにもねえのに怯えて、俺が来たことに気付きもしない。 俺はいい、ただあんまりじゃねえか。 贔屓だと言われようが知ったこっちゃねえ。 コイツは、何も悪くねえ……!! 「來! 來……!!」 弾かれたように飛び出して、來の元へと駆け寄っていた。 「あ、ああ……!!」 「來……!!」 そっと離れていく桐也、空いたスペースへと歩を進め、悪夢に苛まれる弟の名を何度も呼んだ。 俺のことを見てくれなくても構わない、そんなへんなもんに負けそうになってんじゃねえ……!! 「まだ救いはある。微量にしか吸っていないはずだ」 「え……?」 ただその手を握ることしか出来ない自分に苛立ちを募らせていた時、いつの間にか隣へと身を置いていた秀一から、冷静な言葉が漏らされた。 「目は生きている。辛いだろうが、この状態をあと何度か乗り越えられれば、大丈夫。きっと戻る」 「秀一……」 それは不思議と、乱していた気を整わせ安心させた。 どこか重みのある言葉だったけれど、秀一が言うからにはまだ幾らでも望みがあると思えた。 不安定な心が、『THE END』の効力を更に増幅させた。 一時は全てを忘れられるかもしれない、けれど作りものの幸せを維持する為のリスクは余りにも大きい。 お前は、お前だけの力で切り開いていける。 「大丈夫、すぐに治せる。ヤクなんかより、彼のほうがずっと強い」 「……來」 苦しむ姿に辛くなるけれど、望みを失ったわけではないから。 なんだってするから、こんな表情をもう、コイツにさせないでくれ。 「……本当のヤク中は、こんなもんじゃない」 「……?」 そっと囁くように発せられた秀一の言葉は、よく聞き取れなかった。

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