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「……颯太、まだ寝てんのか?」 普段の勢いは何処へやら、三男の部屋をコソりと覗き込みながら、気まずさをお供に入室する。 いつもなら蹴破る勢いで入って行き、寝起きの悪い颯太を無理矢理に起き上がらせ、食卓へと強制連行するのだが。 なんとなく強く出て行けず、なんともやましい一件を抱えている為、ずっと寝てくれていただろうかとまずそこを心配する。 「おい、颯太……」 布団を剥がし、身体を揺さぶってみるが反応無し。 いつも通り、普段と変わらぬ爆睡っぷりだ。 そこに少し安心するも、そろそろきちんと起こさねばならない。 あ? 秀一……? ……ああ、アイツは一生起きねえんじゃねえか。 朝一で沈めてきたらしく、一仕事終えた清々しさを持つも、颯太へ一方的に含む気まずさには敵わない。 クソッ……、やべえじゃねえかよ。 過ぎたことはしょうがねえにしても、また俺は流されて何をっ……。 隙あらば浮かぶ昨夜の情景を押し込み、颯太を起こすことに集中するも、依然として起きる気配すら無い。 なんだ……? 今日はいつになく眠りが深ぇじゃねえか。 いつもならそろそろ、眠そうにうめき出す頃なんだけどな……。 「……ふう、仕方ねえな」 まだ多少時間があることだし、もう暫くは寝かせておいてやるかと、まずは上の二人から片付けていこうと決める。 「まさか……、な」 今朝はたまたまいつも以上に寝起きが悪いだけだよなと、安心させながら廊下へと歩いていき、来た時と同様パタリと静かに扉を閉める。 「……はあ、参ったな」 別に普段通りでいいのだが、何処となくぎこちなさを出してしまう。 「ああクソッ……、やっぱとりあえず先に、奴にとどめをさしてくるか」 向かう部屋を変え、やり場の無い感情をとりあえず暴力にでも変えてしまおうと、秀一の元を目指していく。 何かしていないと、思い出さなくていいことが瞬時に蘇りそうだったから。 「……クソッ、あのばかっ……」 けれど、嫌いにはなれない。 なんでって……、そんなこともう、知ってんだろ……? 《END》

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