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5※
「咲……」
唇がこめかみに落とされ、自身を頂へと導いた手が、肌を滑りながら後ろに移動していく。
そうして次に迫っていることを知り、思わず身体をピクりと震わせるも、拒絶する程の力も嫌悪も無く、淫らな感情が少しずつ頭を覗かせている。
臀部はすぐにも露になり、なめらかな肌をするりと撫でてから、割れ目からツゥッと、欲に塗れた指を突き入れていく。
「ぅっ、ん……、はぁっ、あっ」
淫らに空気を震わし、シンクに掴まりながら時おり、苦しそうに喘ぎを漏らす。
「少し辛いな……」
互いに立ちながら、後ろをほぐしていくのはなかなかに手が掛かるらしく、吐息混じりに一人言を漏らすと、全ての根源であるクリームを再度指に纏い、空いた手で腰をぐいと引き寄せてくる。
「あっ……! な、にしてっ……」
理性を喰い千切られても、矢張り恥ずかしさというものは簡単に消えないもので、尻を突き出す様な体勢になったことを知り、戸惑いと不安げな表情を浮かべる。
「いい子だな。何も心配しなくていい」
そう言って軽く口付けると、クリームで滑りが増した指を、再び突き出された臀部から内部へと突き進んでいく。
「ん、ふっ……、はぁっ、あっ……」
恥ずかしくて仕方が無い、けれども今となっては止められるはずもなく、簡単には治まりそうもない熱を抱えながら、内部に指を招き入れる。
内襞を擦り、慎重に進む指先が、時おり敏感な部分へと迫り、たぎる様な熱が体内で荒れ狂う。
そんなことでは足りないと、更なる質量を待ちわびている身体が居て、違う違うと頭を振りながらも、すでに自身は熱を取り戻していた。
「美味そうに食べるんだな……。これだけで満足か?」
徐々に本数を増し、あらゆるところを掠められ、動く度にクチュクチュと淫らな情事が奏でられる。
空気は妖しく震え、猥雑な雰囲気が辺りを包み込む中、生活感溢れるこの場で二人、日常を忘れて交ざり合う。
更なる熱を欲し、たまらずヒクつく秘部を知ってか知らずか、これで満足かなどと問い掛けられ、そんなわけがないと躊躇いがちに頭を振ってしまう。
衣服は胸元まで捲り上げられ、だらしなくジーンズは膝から落ち、やっとの思いでエプロンが身からぶら下がっている。
考えられない醜態だと、こんな状況でも何処からか冷静に見つめている自分が居て、これから台所に立つのが嫌になりそうだと思う。
「あっ……」
けれども実際、今この状態ではどれだけ醜態だろうが関係無く、秘部にあてがわれた秀一の熱を感じ、それだけでたまらない気持ちになってしまう。
全てを溶かす様なその熱さで、今すぐにこの身を貫いて、狂おしい程の快楽に叩き落として欲しい。
それだけが望み、今この瞬間には何も、他には要らない。
「あっ……、しゅういちっ……」
外気に晒された背を舐め、キスをしながら螺旋を描いていき、最後には腰へと口付ける。
すでに昂り、熱が秘部の表面を滑り行く度に、どうしようもなく焦らされているようで、その度に我慢が限界へと近付く。
内部に入りかけ、すぐにも出ていく自身はまるで、此方の反応を楽しんでいるかのようだった。
「もうこんなにしていたのか? おかしいな……、さっき出したばかりじゃなかったか?」
意地悪はもうしないと言っておきながらも、ついつい愛しさから困らせる様なことをしてしまうようで、またも昂らせていた自身を掴むと、再度緩やかに扱いてくる。
「はあっ、ぁっ……」
気持ちがいい、けれども今はそのことよりも、別に欲しているものがある。
「あっ、しゅ、いちぃっ……、もう、やっ……、ん、……ほ、しいっ……」
「咲……?」
「はぁっ、あっ、秀一ッ……、い、れてっ……」
腰へと添えられていた手に触れ、熱っぽく潤んだ瞳を向けると、甘ったるい喘ぎを零しながら途切れ途切れに、とどめの殺し文句を二度告げる。
それだけでもう、十分過ぎる程だった。
「あ、あぁっ……! あっ、しゅ、いちっ……、あ、ついっ」
「全く……、そんな誘い方、何処で覚えてくるんだ……?」
「あっ、はあっ、あっ……! あっ、あぁっ」
一息で最奥を貫き、容赦無く肌を叩きながら、幾度となく腰を打ち付ける。
念願の質量で充たされ、内襞を擦られる度に火が点く様な熱さが起こり、霰もなくいやらしい声を上げ続ける。
「こんなことして覚えてきたら、お仕置きだからな……?」
「あ、あっ……ぅっ! し、ないっ……、そ、なことっ……、あぁっ!」
腰に添えた手に力が入り、何度も奥までを貫いていきながら、一番狂う部分へも熱を突き立てる。
夕方まで戻らないとは言え、予定を変えて今帰宅することも十分有り得、三人が玄関を開けて慌ただしく入って来たら、この状況をどうにも説明出来ない。
出来るはずもない、見たままの状況以外、なにものでもないからだ。
だからこそそんなことには絶対なるわけにいかず、もしもを考えると肝が冷えるのだが、同時に身を熱くさせてしまうのも事実で、昂りは更に増していた。
「はあっ、あっ、もっ……、しゅぅ、いちっ……、あっ、い、くっ……んっ」
「はっ……、俺も、そろそろ耐えられそうにないっ……」
「あ、あっ、はあっ、……あっ!」
微かに秀一も息を乱し、台所で互いに欲を貪り合いながら、汗を滲ませて腰を揺らす。
理性などとうにブチ切れ、周りなど何も見えず、ただ淫らに貫く熱を受け入れる。
緩く半開きになった唇からは、熱っぽく淫らな吐息が絶えず漏れ、恐ろしい程の色気を身から溢れ出させている。
夜の喧騒から離れても、程好く引き締まった身体つきは変わらず、汗を帯びて淫らに濡れ光っていた。
「咲ッ……」
「あっ……! はあっ、あっ、ん、い、いっ……、しゅぅ、いちっ……、あぁっ、んっ」
シンクから手を離さず、朧気な意識の中に身を浸しながら、最奥までの貫きにたまらず歓喜の声を上げる。
繰り返される挿入でクリームは溶け、クチュりと更に音を肥大させながら、秘部をぬらぬらと艶めかせる。
すでに思考は真っ白で、打ち付けられる度に生じる奏でと、最奥までを貫かれる熱に酔いしれながら、やがて自身はたまらず果てを迎える。
「あっ……! はあっ、あっ! やっ、あ、あぁっ……!」
「くっ……!」
何度目かの欲を吐き出し、滴るのを感じながら甘く息を漏らしていると、秀一も果てを迎えたらしく、押し殺した声で呻くと、同時に内部へと熱い奔流が放たれる。
「あっ、はぁっ……、しゅうい、ちっ……」
「咲ッ……」
そして自然と唇が、重なり合っていた。
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