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「すげー美味そう! 何コレ! なあなあ、何入ってんの!?」 「落ち着け……、白玉」 「へー! 美味そう! いただきまーす!」 椀と箸を受け取り、キラキラとした笑顔で中身を見つめ、早速白玉を器用に挟むと、口の中へ放り込んでもちもちとした食感を楽しむ。 とろりとした舌触りと、しっかりとした歯応えがあり、時おり汁を飲んで身を温まらせながら、嬉しそうに箸を進めている。 「お、サンキュ」 瑛介の様子を窺い、余所見をしている桐也へと椀を差し出すと、一度視線を合わせてから礼を述べ、箸と一緒に湯気を立ち上らせているぜんざいを受け取る。 先ほどまでの喧嘩は何処へやら、今では大人しく身を寄せ合いながらフウフウ息を吹き掛けて食べており、世話が焼ける奴等だと内心で思う。 「咲ちゃん」 そのような折り、盆を手に調理場へ戻ろうとしていたところ、背後から名を呼ばれて振り返る。 見れば颯太が立っており、椀が二つ乗せられている盆を手に、人懐こい笑みを浮かべながら此方を見つめている。 「はい、どうぞ」 まさに今、盆に乗せられているぜんざいを取りに戻ろうとしていたのだけれど、颯太が気を利かせて持って来てくれたらしく、お陰で手間が省ける。 「……持って来てくれたのか」 「うん。残りの後片付けも終わってるよ」 湯気を立ち上らせているぜんざいと、颯太を交互に見つめ、こういう時になんと言えば良いものかと迷いながらも言葉を紡げば、予期せぬ答えが返ってきて目を丸くする。 つい先刻、何かを作っていることに気が付いたらしい颯太が調理場へと現れ、暫くは興味深そうに手元を見つめながら立っていた。 けれども途中から、ぜんざいに入れる白玉を作り始めたところでやりたいと声が上がり、それから出来上がりまでずっと手伝いをしてくれていた。 程無くして美味しそうなぜんざいが出来上がり、後のことはいいから向こうで待っていろと言えば、元気の良い声と共にすんなりと調理場から立ち去っていたのだけれど、どうやら居間で椀を配り歩いている間にコッソリと戻っていたようだ。 そして残りの後片付けも全て終え、持ちに戻ろうとしていた出来立てのぜんざいを手に現れ、目の前でニコニコと穏やかな笑みを浮かべている。 「こっちで待ってろっつったのに……」 「うん。でも早く咲ちゃんと一緒に食べたくて」 さらりと嬉しい言葉を述べられ、あまりの照れ臭さに視線を合わせていられず、返答の代わりに颯太の頭をポンポンと撫でてから、背を向けて歩き始める。 桐也と瑛介の側に居ては、遅かれ早かれ何らかの巻き添えを食らうであろうことが目に見えているので、秀一の元へと近付いていく。 颯太も後に続き、始めこそソファに腰掛けようかと思うも、こたつに入りながらゆっくりとぜんざいを食べることにする。 ソファの足を背凭れに、テーブルの側に敷いている長座布団に腰を下ろし、こたつ掛けの中へと半身を滑り込ませる。 盆は邪魔にならなさそうなところへと置き、熱源から発されている仄かな温もりに包まれ、それだけでホッと安堵しそうになっていると、目の前に椀と箸を置かれて視線を上げる。

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