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薄紅色に彩られた頬、小さく開かれた唇からは絶えず矯声が溢れ、取り巻く全てのものを蕩けさせてしまいそうな程に熱せられた吐息が、いやらしい奏でと共に室内へと響き渡る。 眼差しは恍惚とし、今にも眠り落ちてしまいそうなくらいにとろんとしており、目尻からは幾筋もの涙が美しく伝い落ちている。 どちらとも分からぬ唾液で塗れ、誘うように淫らで妖しく色付いている唇からは、突き上げられる度に凄絶な色香を纏いし声が漏れていく。 「あ、あぁっ、んっ……、あ、はぁっ」 閉じられぬ唇の端から、時おり透明な糸を紡ぎ出しながら喘ぎ、唾液を満足に飲み干すことすら許してはもらえない。 熱を孕む吐息、普段からは想像すらも出来ないような艶かしい声を上げ、与えられる快楽にどっぷりと身を酔わせていく。 ソファに爪を立て、気が狂いそうな程に淫らな律動を一身に受け入れながら、甘く蜜でも孕んでいるかのような、心地好い香りのする髪の毛を揺らす。 圧倒的なる質量を感じ、少しずつ内部へと押し進められていきながら、やがて全てがゆっくりと呑み込まれていく。 そうしてまた引き抜かれ、最深部まで貫いていくことを繰り返し、徐々に速さと力強さが増していく。 腰に手を添えられ、臀部を高々と束縛されながら、色艶に塗れた荒い息遣いと、肌を打ち付けられる度に漏らされる奏でに背筋を震わせ、幾度となく最奥を貫かれていく猥雑な一時に身を委ねる。 「あっ……! はぁっ、あっ……、い、いっ……、き、もちいっ……、しゅういちっ……」 思考を絡め取られ、理性などとうに地へと堕落している状況では、恥じらいや慎ましやかさなど粉微塵に消え失せており、腰を揺らめかせながら全てを惜しげもなく晒け出す。 そして僅かに振り返り、熱っぽく潤んだ瞳を向けながら、寄り縋るように甘えた口調で淫らな喘ぎを漏らすと、名を紡いですぐに腕を取られてしまう。 問答無用でぐいと引き寄せられ、されるがままに身体を預けていれば、やがて逞しい胸板へと背中が触れ、後ろから抱き締められるような体勢になる。 未だ繋がりは深く、伸ばされた指先が胸元を這い回り、色濃く熟れている突起を摘ままれたかと思えば、挟まれたり、押し潰されたりと様々に刺激を加えてくる。 もう一方の手は太ももへと移動し、下から掴み上げるようにして添えると、揺さぶられてより一層の熱を感じられるようになる。 尚も突起を微かに引っ掛かれたり、脇腹を撫で擦られる度に身体を震わせていれば、すでに解き放たれようとしている自身へ指を這わされて、それだけで白濁が量を増していく。 「あっ、はあっ、んんっ……、や、あぁっ、あっ」 耳元へ舌を這わされ、まんべんなく舐め上げられながら、耳たぶを甘く噛まれる。 余裕無く乱れ、あちらこちらを一度に攻められて気が狂いそうになるも、律動と共に揺らめいている自身からは絶え間なく、いやらしい欲望が途切れることなく溢れ続けている。 卑猥な奏でに支配され、どちらともなく舌を絡ませ合いながら口付けをし、結合部から漏れ聞こえる音の間隔が狭くなっていく。 「あっ、あぁっ、は、んっ……、い、くっ……、イッちゃ、あぁっ、ん」 「咲ッ……」 耳元で囁かれ、痺れるように甘く色気を孕んだ声に追い上げられ、自身へと与えられている手淫が深みを増す。 根元から擦り上げられ、グチグチと指の先で雁首を弄られ、一番快感を得られる部分を重点的に貫き通されて、ゾクゾクと一際強く痺れるような感覚が背筋を駆け上がってくる。 「はぁっ、ん、あ、あぁっ……!」 程なくして、自身から熱い迸りが放たれ、背筋を甘美な余韻で震わせながら酔いしれ、身体からどんどん力が失われていく。 欲に塗れ、ヒクつく先端からは暫く白濁が上がり、辺りを貪婪に染め上げていく。 「はぁっ、ん……、あっ……、秀一……」 そうして間もなく、秘部へとうずめられていた自身からも熱が放たれ、感じやすい身体の中へドクドクと奔流が満たされていく。 背を預け、力無く凭れ掛かりながら熱っぽく吐息を漏らし、名を紡いで頬をすり寄せる。 暫くは繋がりを保ち続け、幾度となく唇を重ね合わせては舌を絡ませながら、何を言うでもなくじっと身を寄せ合う。 刻々と時を刻み込む音が響き渡り、満ち足りた静寂に室内を少しずつ支配されていきながら、自然と互いの指を絡めて草木も眠り込む濃密な一時を過ごしていた。

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