「零真。おはよ」 「はよぉ。やっくん。毎日お迎え大丈夫なのに」 「だって通り道なんだもん。それに…」 「うん。まぁた変なのに好かれちゃったみたいだね」　　 俺の家は古くから続く神社。異界のものとこちらの平穏を保つため俺たちは存在している。 母である雅は俺と同じ年の頃覚醒し強くなってここ一体を収めた。 母親と父親は男同士。特別な儀式とかで俺を身籠ったから俺は二人の力を受け継ぎ更に儀式で必要となった鬼の力も持っている 覚醒したらおそらくこれまでの主の中でトップクラスの力になると言われてて俺はここを守るため適任である相手を探し子を成さなければならない。 そんなの昔の文献をかなり読み漁ったから知ってる。 だからこそ俺は桜緋が欲しい。桜緋は家に仕える従者で鬼である。 桜緋の両親は双子の鬼。鬼はなかなか子を成せない中で生まれた桜緋は間違いなく強い。 強いからいつかは天界に行き神の仕事をしないとならないのもわかってる。 桜緋はすごくキレイで小さい頃から見てるはずなのに今でも見惚れちゃう。 気付いたら好きになってた。優しくて強くて美しくて… 従者と結ばれてはならない。それもわかってる。けど諦められないのは時折本当に辛そうに俺を見てるときがあるから。 きっと桜緋だって俺のこと好きなはずなのに… 何か打開策はないのかと今も調べ続けてるけど見つからない 「零真ぁ…」 考え事をしてたらやっくんの甘い声が聞こえた 「あ！ごめん！忘れてた」 「たすけて…んん…」 やっくんは元はこの世に存在して何か未練があり成仏できない怨霊の類に好かれやすい。しかもそれのどれもが男。 やっくんは感受性が豊か。すごく優しいし困ってる人がいたら放っておけないいい人を絵に書いたような人。 怨霊と人の区別もつかないくらい見る力を持ってて誰彼問わず話しかけちゃうからよく取り憑かれ性的な嫌がらせをされてしまう。今も目の前の怨霊に服を剥がれ体中蹂躙されてる。すでにトロトロになった顔をしてそのまま体を取られそうになってる トロトロな顔は確かに可愛いし正直反応もする。でもこれは仕方ないことだと思ってる。 「えっろ…その顔」 「そんなこと言ってないで助けてよぉんんっ！！」 「もう。仕方ないなぁ。何が君をこちらにとどめているの?」 悩みを聞いてやるとだいたい解決する。やっくんは見えるけど声は聞こえないから対処できないのだ あぁ…でも今回のは話しにならんな…やっくんに心底惚れちゃったみたいだ… 「ごめんね。やっくんは俺のだから」 そう言ってやっくんに絡みついてるやつに近づきやっくんを抱きしめキスをする。そしたらやっくんの意識はこちらに向くから少し隙ができる。その時祝詞を唱えてあげれば浄化され成仏できる 「バイバイ。来世ではきっとあなたは報われる。だから泣かないで…」 涙を流しながらそいつはキラキラと天へ登っていった。