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第124話
「れ…」
「…豪鬼!!起きろ!!てめー無駄に力強いくせに何寝てんだ!!豪鬼!!」
豪鬼はうちの従者シンさんの遠縁に当たる同じ種族の血を持っているんだ。
だから豪鬼はいつも俺に突っかかってきてた。鬼の末裔だから。鬼は神聖で強いものだとわかっているからただの人である俺達に使えている鬼の中でも最も力のあるシンさんが俺たちのところに長く仕えていることに嫌悪感を持っているのだ。本来は人に使われる立場ではないと信じているから。
「と…う…じょ…」
「早く起きろ!!お前の想い人が死んでしまう。お前の強い力がただの人であるやっくんに注がれ続ければ死んでしまう!早く!なんとかしろ。ばかやろう!!」
それとやっくんに好意があるからいつも一緒にいる俺が気に食わないのだ
「や…し…ろ…」
豪鬼は鬼の末裔らしく顔がとにかく怖い。体も勿論でかい。声もでかい。だから皆恐れて豪鬼には近付かないのだ。そんな豪鬼は本当はバカがつくくらい真っ直ぐで嘘がつけなくて本当はいいやつって俺は知ってる。
見た目が怖いせいで碌に友達もできなかった豪鬼に手を差し伸べたのがやっくんだった。
困っている人がいたから助けてあげようと手を伸ばした豪鬼を不審者だと思った周りのやつが警察へ通報したのだ。
何を言っても信じてもらえなくて途方に暮れていたときたまたま近くにいた俺たち。
俺たちは事の様子を見てた。大きな道路を挟んだ反対にいたからすぐに駆けつけてやれなかった。けど状況はわかってた。やっくんは信号が変わると急いで走っていって警察に事情を説明した。
そしたら豪鬼に助けてもらうところだったと相手の人もちゃんと説明してくれた。お陰で事なきを得てそれからやっくんに好意をもった。
隣にいたのが俺だとわかったのはそれから暫くしてからだった。
わかってから俺に突っかかり始めた。
俺が気に食わないのももちろんだが他と違って普通に接する俺たちの存在が嬉しかったんじゃないかなって勝手に思ってる。
そう考えると可愛く思えていつも通り接してきた。
今は豪鬼の意識も必要だから何度も呼びかける
「豪鬼!!お前それでいいのか?おい!豪鬼!!」
「や…し…」
豪鬼が動こうとしたときさらに妖力をやっくんに与えたそいつがまた豪鬼の動きを封じる
「くそ…」
ただの人として育てられた豪鬼。俺と違って鍛えられていない力の部分…
「零真!!」
その時辺りが眩しく輝き母たちが姿を現した
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