124 / 140

第126話

「やっくん!」 「零真。おはよぉ」 「今日も可愛いね」 「零真ぁ…恥ずかしい…」 俺はいつものように恋人であるやっくんと登校する。 小さい頃から一緒の幼馴染。ずっとずっと好きでずっとずっと告白してきてようやく実った初恋… 周りのみんなも祝福してくれる。お似合いだと言ってくれる。 俺たちは高校を卒業したら結婚することになっている。 幼馴染で許嫁なのだ。 でもなんだろう?たまに違和感を感じることがある… 大切な何かがそこにあったような気がするのにわからない… 「零真?平気?」 「うん。大丈夫だよ。今日ポカポカ暖かいからぼんやりしちゃった」 やっくんに憑いていた奴をみんなで消滅させたあの日。やっくんを無事もとに戻せてホッとしてた。 豪鬼はやっくんに憑いていたあいつに多くの精気を搾り取られさすがの豪鬼も暫く動けなくて学校も休んでいた。 普通の人間であればきっともう本人の意志は消えてなくなってただの(むくろ)になっていたはずだけど流石は鬼の血を引く人間。 豪鬼は豪鬼のままそこに存在している。まだ体力は戻っていないが生意気な口の聞き方は健在だ 「やっくんこそもう体平気なの?」 「うん。零真が沢山大好きってしてくれたから大丈夫だよ」 「俺はまだまだ足りない。ずーっとやっくんといちゃいちゃしてたい」 「もう!零真ったら」 一緒に笑い合い周りの目も気にせず何度もキスをする。 いつもの光景だからかもう学校のみんなは何も言わなくてただ生温かーい目でみてる。 「れーいま!相変わらず見せつけてくれるじゃん!俺も彼女欲しいなぁ」 友人にそう誂われながら今日もまたいつもの一日が始まるのだ。

ともだちにシェアしよう!