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第135話
桜緋side
「は?俺が?何で?雷さま!」
「仕方がないだろう。うちは人界的に言うならば当番制だ。お前が今月は当番になっているのだから」
まさか俺が零真へ罰を与えることになるとは…
やっと…傷も癒え始めたところなのに…
「体への負担もお前が一番与えないだろう?他の奴らなら零真やり潰されるぞ?」
「それは…そうだけど」
「…仕事だ。飲み込め」
「…わかりました…」
俺の中にはまだ零真を思う気持ちがある…少しずつそれも含め受け入れて社さまとの仲を見守るとようやく決意できそうなときだった…
何でも零真は他の人間に犯される社さまを転移させたらしい。社さまだったからうまく行ったようなものだ。
どの部分も欠けることなく目的の場所へ送ることができたことは奇跡でしかない。人間は呪いの耐性を持たないのだから非常に危険性が高い故絶対に使用してはいけないのだ。
零真は昔から頭にくると後先考えず突っ走るような奴だった。だからこそ放っておけなくて気になって仕方がなくて気付けば気持ちが膨らんでいったのだ…
「おーい!桜緋。時間だぞ」
裁きが言い渡されたのち広間を移動する。
これは罰だ。だから多くの神々がその模様を見ることができるようになっている。
雅さまは元々東條家のすべての代の中で最も美しい主と言われてきた。その息子の零真は南の血も入り雅さまとはまた別の美しさがある。だから今回の裁きはある意味神々も注目していて皆がゲスな笑みを浮かべ見送るのだ。
「気持ち悪い…神は本当に…」
「零真さま。口を慎みなさい。ここは神々の御前です」
「そういうお前も同じ神のくせに…」
「そうですね。しかしながら致したかないのです」
俺に愛を囁いてくれたその声で俺のことを嫌悪する…正直きつい…けど…零真の中で俺は知らないゲスな神と同じなのだ
無理矢理にこの悲しみを押し殺して淡々と裁きの準備に入る。
相変わらず綺麗な体をしている。無駄な肉はついてなくてかといって細いわけではない。
あぁ…本物だ…本物の零真と…俺は…
出来る限り周りから見えないように体制を整えことを始める。
始めは抵抗していた零真が次第に乱れていく姿は本当に美しくて…
「んん…何で…あんた…泣いて…あっ…」
「黙りなさい…集中できぬ」
「んん…」
零真…零真…あぁ…俺はなんて醜いのだろう…この罰を与えることが嬉しくて仕方がない…二度とこうして零真の瞳に映る事はないと思っていた。
こうして組み敷くなんて…こうして俺の楔を打ち付ける日が来るなんて…もう…零真の心は俺にはないのに…俺は…
「零真…零真…」
「…桜緋…んん…好きだよ…大好きだよ…」
その言葉がただの戯言だとしてもこんなにも嬉しくて…
「零真…」
愛の言葉を囁きたいけれどそれは許されないからただただ甘やかしてやるのだ…
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