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第138話
社side
「…んん…ここは…」
「目が冷めた?」
「雅さん…」
「夢幻と泡影には会えた?」
「はい…あの…零真は…」
タイミングを見計らったように襖が開いた
「やっくん!目が冷めたんだね。よかった」
大好きな零真がキラキラと雫を零し抱き締めてくれた
「おかえり…ごめんね」
「ううん…俺もごめんなさい…注意が足りなかったの…」
「やっくん。これあげる」
零真が俺の手に乗せてくれたのは綺麗な桜色の勾玉だった。
「これ…」
「お守り。俺が側にいれないときでも守ってくれるようにお祈りしてもらったの。だからこれ絶対に外さないで身につけていて?」
「うん!ありがと」
この桜色…なんだか見たことがあるような気もする…この色を見ると胸が…ぎゅーっと捻り潰されたみたいに痛い…けど不思議と暖かく感じた
「ある優しい神様がねやっくんを思って作ってくれたんだよ」
「そうなんだね…」
その時の零真の表情がとても切なくてそっと手を重ねた
ねぇ。零真…俺は何か間違ってる気がするんだよ…とてもとても大切な何かを…
「やっくん…大好きだよ」
そういってふわりと抱きしめてくれた零真の暖かさに涙がこぼれた
「ねぇ。やっくん」
「ん?」
「これからお話すること聞いてくれる?」
真剣な眼差しでそういう零真にドキドキした
「なぁに?」
「ごめんね」
「それはさっきも聞いたよ」
「ううん…違うくて…俺さ嘘ついてたことあるの」
「うそ?」
その言葉に胸がざわついた
「小さい頃から好きだった…ってあれが…嘘になる」
「…そんな…」
頭から冷水を浴びせられたように体が冷えていきカタカタと震えが始まる…
それが偽りならば…俺…と…別れるの?どうして一緒にいてくれたの?何で…俺が信じてた零真の思いって…
最悪な想像が嫌でも脳裏に浮かぶ…どうしよう…どうしようどうしようどうしよう…
「やっくん。落ち着いて。」
そういうと零真はぎゅっと抱きしめ直してくれた
「小さい頃からって言うのは嘘だよ。けどね。俺…今は本当にやっくんが…社が大好きなんだ」
「わかんない…わかんない…わかんない…単刀直入に言って!!」
「俺と…結婚して?」
「へ?」
思っていたのと違う言葉に戸惑う。俺とお別れするんじゃないの?俺の疑問を感じ取ってくれたのか零真がニコリと笑う。笑顔だって本当に綺麗だ
「本当はね、大学卒業してからって思ってたけど東條の名前になるだけでも強い力がやっくんに宿るの。もう俺やっくんを誰にも触らせたくないの…今回みたいなことおこって欲しくない…だから…結婚して?」
「うう…零真ぁ…うん…うん…よろしくお願いします」
その言葉に零真は嬉しそうに頷いた
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