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第5話

「あの…カナメさん」 「カナメでいい」 「じゃあカナメ。俺は何も知らない…だからよろしくお願いします」 「お前齢は?」 「17。数日で18になる。あなたは?」 「ならば同い年だな。俺は先日18になったから」 「あの…経験は…?」 「男も女も知ってる。主があれだから」 「あぁ…それもだし…カナメ近くで見ると綺麗な顔してるしね」 「それはあまりわからない。綺麗なのはお前みたいな奴だろ」 がさつそうな見た目と反して優しい手付きで俺の前髪を上げた 「女みたい…」 「五月蝿い…これでも気にしてるんだから…」 「俺はお前の顔好きだ」 「え?」 男にそんなことを言われるとは…あまり嬉しくない… 「キスの経験は?」 「あるわけない…人と関わってこなかったから…」 「友もおらんのか?」 「そうだね。クラスメイトのことも隣の席の人も先生の顔もほとんど覚えてない…」 「…お前…桐ケ谷高校?」 「うん」 「A組?」 「うん」 「あぁ。お前が噂のミヤビ様か…」 「噂?なんのこと?」 「誰も近付けない綺麗さと聡明さ。気軽に話しかけてはいけないという決まり事があるって」 「はぁ?」 「俺は興味ないからお前の顔すら知らなかったけど何度かけしかけられたことはある。お前を落とせと」 「え!!」 「まさかこんな形でお前と話すとは…まさか噂の人が御当主様とは…さて。始めようか…」 「ちょ…待って…えと…」 戸惑う俺の震える手をそっと握り手の甲へキスを落とす そこから身体中が痺れていく…始めての感覚に体が驚いたのだろう 「ここは初めては好きな奴に取っておくか?それとも俺でいいか?」 唇を指でなぞりながらカナメが問う。低くて心地良い声で言われその唇の感触への好奇心が湧いた 「別にカナメでいいよ。カナメが嫌じゃなきゃね…」 「よかった。俺はしたかったから」 初めて見せた笑顔は妖艶で体の芯が熱を持つ…こいつ…綺麗だな… 重なった唇は柔らかく気持ちがいい…うっとりしているとカナメが笑う 「可愛いな…今まで抱いてきた誰より可愛い…」 「ばっ…ばかっ…男に可愛いとか…誉め言葉じゃねーし…」 「素直に思ったまま口にしただけだ。ちゅっ」 「んっ…」 「少し唇を開けて?」 言われるまま開けるとにゅるりと中に差し込まれた舌が口の中を荒らす 「ぷっはっ…くるしい…」 「鼻で息しろ」 「んっ…」 気持ちいい…キスってこんなに気持ちいいんだ… 「ふっ…顔溶けてるぞ…可愛すぎ…」 「んぁっ…だってぇ…初めてだし…」 「甘ったるい声…そそるな…」 「カナメ…優しくしてね…あの…もの凄く痛いって聞くから…」 「善処する…」

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