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第26話
「カナメ。俺朝言ったよね?」
「何を?」
「学校では今まで通り…」
「やだって言ったよね?」
「何でそんなこと…」
「そんなの決まってる。お前に俺だけをみて欲しいから」
「そんなの無理に決まってるだろ?」
「では…せめて…気を抜きたいとき寄りかかれるやつになりたい」
「あのさ。お前はサコンさんのとこの従者でしょ?サコンさんに付いていなければならない。いかなるときもお前はサコンさんから離れてはならない。わかってるよね?」
「だが父は母と共に生きることを選んだ。俺は半妖だから一生サコン様の側にいなければならないという決まりはない。それは俺が寿命が人とあまり変わらないから」
「それでも…」
「お前はまだ、覚醒していない。結界を張り直したから弱い者は寄っては来られないがもう既に力の強いものもこちらの方に来ている。さすがにシン様は学校までは来られない。だから学校で何かあった場合俺は主であるお前を守る義務がある」
「それは…」
そう…痛いほど解ってる…結界が破られる以前より妖気が強くなっていること…
いつ何が起こってもおかしくないこと…
「開け放たれてしまった異界の扉をただ閉めただけ…開いている内に幾人もの妖がこちら側へやって来ている。結界でそいつらの多少の妖力は押さえられるが力が強大であればお前は直ぐに喰われてしまう。かといって常に意識を高め続けることはお前の負担になる。だから少しでもお前への負担を減らしたい。だから…側にいさせてくれないか?俺であれば何かあったときお前にすぐ妖力を注ぐこともできよう。お前の盾にもなれよう。わかるよな?」
カナメが特別な感情を持っているわけではない…ここを、守るために俺を守らねばならない…ただそれだけのことなのに…素直に頷けないのはこの気持ちのせいなんだろう…
俺だけをみて欲しいというカナメの真意はわからないが…俺の胸のうちのそれとカナメのそれは違う…
「わかった…では登下校のみ一緒にいてくれ。他の時間は必要ない。お前が来ると俺まで目立ってしまう。それはあまり好ましくない…俺は極力人の目を避けねばならないのだから…巻き込んでしまいかねないから」
「わかった…でも何かあればすぐに駆けつけることは許して欲しい」
「わかった」
おそらくこれで毎時間来ることはなくなるはずだ
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