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第33話
シンside
ミヤビが目覚めたと思ったら中身は泡影だった
泡影とは随分と前に会ったことがある。
あれはあの時…先代が妖力を使い続けた時のこと。あの時代は人でないものの力が特に強力で、にもかかわらずそれを統治するものがいなかった。そこで我らと仲が良かった先代に白羽の矢が立てられた。
俺たちと先代は自ら彼方の世界へ赴き多数の者を封印した。全てを終えたとき俺たちは妖力をほぼ使い果たし力尽きた。
そんなとき誘われたのがあそこだった
ミヤビは先代と同等の妖力を持っている
しかしながらまだ覚醒できず内に溜め込まれている。
妖力は時に放出しなければ体内からその者の体を蝕んでいく
わかっていたのに儀式をすると言う決断をしてしまった
これは俺の過ちだ
もう少し待てば…耐えられる体にまで高めていれば…
夢想に行っている間はこの場はどうやっても脆くなる…
ミヤビが戻るまで我々で何とかせねば…
次の満月は10日後…それまで如何に守りきるか…
「向こうでのミヤビはどんな様子だった?」
「ミヤビ様は己をしっかり持っておられました。あのまま私がこちらへ来ないと言う選択もございましたがミヤビ様は皆に状況を伝えてほしいとおっしゃいましたのでやってきた次第でございます。己の身が危うくなることもわかった上で私をこちらへ」
「そうか」
「シン様。開けている間くれぐれもよろしくとのことでございました」
「わかった。泡影。お前も人の体内というものはさぞ辛かろう。ゆっくり休め」
「ありがとうございます。私に出来ることがあれば何なりとお申し付け下さい」
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