シンside 泡影を休ませ、皆で呪いをかけ終えた頃カナメがやってきた 「シン様！！」 「カナメか」 「ミヤビは？ミヤビは大丈夫なのですか？」 「わからぬ…ミヤビが戻るのを待つしかない。ミヤビが戻るまでここを守りきる。協力を」 「くそっ…なんで…」 すぐにわかった。カナメはもうミヤビに心を奪われている またミヤビもそうであろう… わかってはいるが苦しい… カナメと共に生きた方がミヤビも良かろう…しかしそれでは世継ぎが残せぬとミヤビは気持ちに蓋をし生きて行くはずだ… カナメに鬼の血が流れていればもしかすると世継ぎが残せたかもしれない。 鬼でも特殊な血に限られるが…残念ながら今我らの中にはそれを持つものはおらぬ… 可能性があるとすれば…蒼か紅か…だがそれにはいくつもの条件がいるのだ 「ミヤビは必ず戻りますよね？」 「ミヤビの力を信じる。それしかない」 「ミヤビ…」 「なぁ。カナメ」 「はい」 「お前はミヤビと添い遂げたいか？」 「…はい。シン様とはいえ俺はミヤビを譲る気はありません」 「ほぉ。お前も知っていたか？俺の想いを」 「えぇ。何度かサコン様と交わるときに呟かれていましたから…」 「まぁ。俺のこれは決して持ってはならぬもの。お前は自由だ。後はミヤビ次第だがな」 「俺は南の者です。どうしてもミヤビ以外と交わらなければならない…これが嫌で嫌でたまりません」 本当に苦しそうに顔を歪めるカナメをただただ見やる そうまでしてミヤビに想い焦がれているのか…南の者だからそうなるとは思いもしなかった あぁ…ミヤビを思うのならば…ミヤビが幸せになるのなら…どうにかしてやりたい… 「カナメ。ミヤビがお前を選べない理由は明確だ。わかっているよな？」 「はい」 「北の者には特殊な血を持つものがいるそれがうまくいけばもしかすると世継ぎを残せるやもしれぬ」 「お聞かせ下さい」 ………………… 「では…」 「あぁ。ただそれにはミヤビの思いも必要となる。戻ってきたら話してみるとよい」 「シン様はそれでよろしいのですか？」 「ミヤビの幸せが俺や他のものたちの願いだからな」