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第39話
カナメside
「ミヤビ様は…おそらくこの気持ちに蓋をしたまま生きていかれます。それは世継ぎを残せない。その理由からです。そこがなければ直ぐにでもあなたのもとへ…」
そのまま目を閉じた泡影を横にする
その後シン様の自室へやって来た
「ミヤビは必ず戻りますよね?」
「ミヤビの力を信じる。それしかない」
「ミヤビ…」
「なぁ。カナメ」
「はい」
「お前はミヤビと添い遂げたいか?」
「…はい。シン様とはいえ俺はミヤビを譲る気はありません」
「ほぉ。お前も知っていたか?俺の想いを」
知っていた。知らないはずはない…
「えぇ。何度かサコン様と交わるときに呟かれていましたから…」
「まぁ。俺のこれは決して持ってはならぬもの。お前は自由だ。後はミヤビ次第だがな」
「俺は南の者です。どうしてもミヤビ以外と交わらなければならない…これが嫌で嫌でたまりません」
「カナメ。ミヤビがお前を選べない理由は明確だ。わかっているよな?」
「はい」
「北の者には特殊な血を持つものがいるそれがうまくいけばもしかすると世継ぎを残せるやもしれぬ」
それが出来るのならば…
「お聞かせ下さい」
「鬼には女は殆どいない。片手で数えられるほどだ。それは知っているよな?」
「はい」
「俺たちは他の妖と比べ寿命が恐ろしく長い。命が尽きぬものもいる。とはいえ不死のものもそう多くはない。だから数百年に一度数名しかいない女に種付けをする。そしてその時もし双子が生まれればどちらかが性別関係なく孕むことが出来る血を持つことがある。これも希だが…それを持つ可能性があるのは蒼と紅だ。しかしそれを確認する方法は孕ませること。それしかない。それをするのには一度しかチャンスはない。
その1度でもし孕めばそちらがその血を持っているということ。どちらも孕まなければその血ではないということ。そして孕んだ方の精液を鬼以外のものへ入れる。やり方は儀式と同じ。するとそのものも孕めるようになる」
「では…」
「あぁ。ただそれにはミヤビの思いも必要となる。戻ってきたら話してみるとよい」
「シン様はそれでよろしいのですか?」
「ミヤビの幸せが俺や他のものたちの願いだからな」
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