「ミヤビ…」 カナメが俺を抱き締めている。これはどういうことなのだろう… 「カナメ…」 「カナメ様。初めまして。私は夢幻と申します。泡影には会われましたか？」 「あぁ。話した」 「それが何かしら影響を及ぼしたのかもしれません…互いが思いあっていると引き合うことがあるのです」 「俺はミヤビのこと愛しているから…」 「俺は…違う…違うよ…」 「ミヤビ様…あなたの迷いは何でしょうか？」 「迷い…そんなの…ない…俺は当主でカナメは従者でただそれだけのこと」 「それでも俺はお前が欲しい」 「ミヤビ様。私は暫く席を外します。積もる話もございましょう？ではごゆっくり」 「カナメ…放して…」 「嫌だ…俺はお前が好きだから…」 「カナメ…言ったはずでしょ？俺は世継ぎを残さねばならない。儀式以外では無駄なことだと」 「ねえ。ミヤビ。もし…世継ぎを残すことが出来るのなら俺のものになってくれるの？」 「そんなことできるわけっ…」 「蒼さまと紅さま…」 「…っ…どうしてそれを？」 「シン様がお話ししてくださった」 「…」 知っていた…もし可能性があるのであれば…でもそんなに都合よく行くはずはない… 「ねぇ…ミヤビ…一度のチャンス試してみる気はない？」 「俺は…」 「俺はお前との子供が欲しい」 「お前には役目がある。南の種を絶やさないことだ。俺はそれを…黙って見ておく…なんて…そんなこと出来ない…だから…」 「ミヤビ。俺は半妖。半妖にも関わらず純粋なものより妖力が大きい。でもサコン様は俺のしたいようにすればいいとおっしゃった。俺はお前をあきらめたくない」