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第50話

ケンside 「ミヤビ様大丈夫だよね?」 「あぁ。大丈夫だろう」 「ん?」 「どうした?」 「ん~嫌な感じの臭いする…サコンの屋敷の方から…」 シンからカナメとミヤビ様の今後の話をされていた シンの想いは知っていたので何も言えないでいるとシンはスッキリしたような顔で笑っていた ミヤビ様の幸せが自分にとって一番の幸せだと そのときはサコンの方をみやると笑っているけれど何か圧し殺しているような表情 ミヤビ様の屋敷から出たところでカナメがやってきた サコンはカナメの顔を見ると嬉しそうな表情を浮かべしかしカナメの言葉に一瞬目を伏せた。 本当にそれは一瞬だったけれど付き合いの長いハクと俺はすぐにわかった サコンの中で何か起こっている…と… いつものカナメならその違いに気付くはずだ。 しかしミヤビ様のことで必死のカナメは気付かなかった そのまま屋敷に駆け込んでいった 離れていくカナメの背中をサコンは見詰めていた 張り付けたような笑顔で そのあとのこの臭いは嫌なことしか浮かばなかった。 「ケン。私が先に向かう。お前は少し遅れてきてくれ。」 「わかった」 ハクはもう長いことサコンに焦がれている それはおそらく俺しか知らない。 ハクはあまり表情は変えない。情事中もまたしかりだ サコンの術に浮かされた時でさえ変わらないほどに 自らサコンを求めることはしない 俺たちが絡んでいても基本的には傍観しているだけ サコンに無理矢理されたときのみ動く それがサコンのためだと思っていた そして自分の気持ちを押さえるためだと 「ケン。私はやっと弟にこの座を譲ることができた。これでサコンの側へいける…」 ハクが長いこと幼い弟君に教育をしていたことは知っていた。 いつか自らの座を譲るときが来れば南の従者になると言うことは俺にだけ伝えていた サコンがシンを焦がれていることはハクも知っていてサコンの思いも、また、ハクの思いも叶わないけれどそれでも側にいたいと願い続けていた その時がやっと訪れたのだ。ハクならサコンをささえられる。だから… 俺は見守るだけだ… ハクに遅れてカナメの臭いを辿る。カナメの手足は赤く擦れていて声も枯れていた 小さな体のミネではこれを解くのは難しかっただろうにミネは今一生懸命にカナメを救おうとしている。 拘束を解いてやりいくつか会話する カナメはこんな仕打ちを受けてもサコンを許すと言った。カナメのこういうところがサコンを執着させることになったのだろう。 愛情とも違うサコンの思い… 「ケン様…どうすればサコン様は救われるのでしょう…やはり…俺は…ミヤビを諦めねばならないのでしょうか…」 「大丈夫だよ。もう…大丈夫…」 サコンの右腕らしくサコンに良く似たとても優しいカナメ。 カナメはミヤビ様にはとても必要な存在だから。だから大丈夫だよ。精一杯の思いを込めそっと頭を撫でる 安心したように目を伏せ崩れ落ちたカナメを別の部屋に移し休ませた 「ねぇ。ミネ。ミネはサコンがこんなことしたくてしたと思っている?」 「いえ。本当はお辛かったはずです。きっとサコン様は恐ろしかったのではないでしょうか…一人になってしまうようで。一人ではないのに…もっと…私たちを信じて欲しい…私たちでは力不足ではありますが…」 「ふふっ…ほんとに…そうだよね…ねぇ…ミネ。サコンを宜しくね」 「はい」 ねぇ。サコン。君は一人じゃないよ。気付いて…

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