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第52話

ハクside 「ハク。一体何?」 カナメをそのままに部屋をあとにする。もう時期にケンが来るはずだから 「サコン。お前は美しい」 見てくれじゃない…中身が美しいんだよ 「は?そんなの当然でしょ?」 「お前は本当は繊細で優しい…」 そうだろう?サコン。ずっと見てきたから知っている… 「ねえ?どうしたの?ハク」 「サコン」 「何?」 「無理に笑わなくていい」 もう大丈夫だから… 「は?え?」 当然戸惑うだろう。私はこんな言葉を一度もサコンに掛けたことはないのだから。 嫌悪の表情はまぁ…わざとだが常に浮かべていたから… 「もういいんだよ」 精一杯の自らの思う笑顔でサコンを見つめる 「ハ…ク…」 目を見開いたサコンが新鮮で可愛らしい 「おいで…」 素直にやって来て私の胸に頭を擦り付けるサコンをそっと抱き締める 「サコン…辛かったな…」 私よりもいくらか小さな背中を叩く。幼子をあやすように柔らかく… サコンが啜り泣く…その姿は耐え難く自らの唇をサコンのそれへ押し当てる… 温かく柔らかいサコンの唇が心地よい サコンは驚いたのか一旦硬直しそしてその刹那声をあげて泣きはじめた… 辛かったであろう…苦しかったであろう…己が恐ろしかったであろう… 「サコン…大丈夫だよ。私が側にいてあげるから…」 「ハクっ…ハクっ…」 「ん。」 サコンが私を求めるように唇を重ね口内を荒らす 何度も何度も角度を変え何度も何度も求める。 その姿が愛しくて艶やかで私はこれまで圧し殺してきた自分の気持ちの蓋を少しだけ開いたのだった

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