53 / 140

第53話

「ミヤビ様。満月です。準備はよろしいですか?」 「大丈夫だよ。夢幻。ありがとう」 「はい」 「泡影にも伝えておいて。じゃあ行くね」 もう夢幻にも泡影にも会う機会はないのかもしれない。 でも彼らもとても大切な人だから… 「夢幻。これからも見守っていてね」 「勿論です」 「じゃあね」 光に包まれる。温かい… 「ミヤビ様。お元気で。私もあなたのことをお慕いしておりました。あの日から…ずっと…あなたが幸せでありますように…」 そんな言葉は俺には届かない。 「おかえりなさい。泡影」 「あぁ」 「ミヤビ様は無事戻れたようだね」 「えぇ。」 「泡影?どうしました?」 「いえ…」 「ふふっ…カナメ様に心を奪われましたか?」 「いえっ…そんなことは…っ…」 「私で我慢してくださいね」 二つの影が重なったのはまた別のお話…

ともだちにシェアしよう!