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第86話

「何で…桜緋…」 光の中心に桜緋がいた 「まさか…力が…」 光を纏ったままこちらに歩み寄る桜緋に劉でさえも目を奪われていた 「眠りなさい!」 その一声で部屋中に陣が広がる ものすごい雄叫びをあげ劉は灰となった 「ミヤビ様。」 「桜緋。体平気?そんな小さな体で…助けてくれてありがとう」 にこりと笑うと糸が切れたように桜緋が俺に体を預けた。 灰となった劉が消え去ったのち空間の歪みは消え元の静けさを取り戻した 「翠。翠。大丈夫か?…」 「シ…ン…ごめん…こんなことになって…カナメを…お願い…随分と妖力を奪われたから動けないはずだから…。」 二人を北の屋敷へ運び身を清める。ハクさん曰くカナメの妖力は劉がいなくなったことにより数日もあれば元に戻るとのことだった 翠玉さんは人の体で強い妖力を注ぎ込まれ過ぎたためしばらくは目を覚まさない。シンさんへの言葉を最後に眠り続けている 「ミヤビ…」 「おはよ。カナメ」 「親父は…?」 「まだ眠っているよ。夢想に行ってるかもしれないね」 「そうか…」 「カナメは大丈夫?」 「ごめん…こんなに弱くて…」

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