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第12話
柔らかい、冷たそうに見えた白い肌は思いの外暖かく、この一瞬を生きていると伝えてくれる。とくとくと重なる心音に安心する。
自分がどうしようもなく一色が好きだと気が付いた。
突然、駆け上がるように沸点に達したその想いに、なぜ自分が一色に、なぜこんなに焦がれているのか理解できなかった。
……ただ一色が恋しいと思う感情がどこからか沸き上がってくる。
ただただ、一色のその細い体を壊れるほど強く抱きしめたいと思った。
「ねえ、どうしたの?」
一色の紅い瞳が揺れている、その中に同じ情欲の炎を認めて呼吸が乱れた。
……熱い……熱くてたまらない。
身体の内側で感情がうねっている。愛しさと壊したいという欲求が、どろどろに溶けて混ざりあっている。この熱から解放され方法、それを知っているのは一色だけ。
何が正解なのか分からず、一色を強く抱きしめる。
「くるしいよ」
一色が腕の中で身を捩る。
……壊してしまいそうだ。けれど、その苦しそうな表情にさえぞくぞくとする欲求が湧いてくる。
「ひいろ?ひいろ、ひいろっ」
名前を何度も呼びながら、強く抱きしめた。
「だいじょ、ぶ、だから。どこへも行かないよ、たとえ何年先でも何百年先でも。一緒に、いっしょにいる」
重なるようにしてゆっくりと身体を横にする。下から見上げる一色は今にも消えてしまいそうなくらい儚く見えた。
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