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第7話

 この部屋は覚えている。いや、思い出した、が正しい。五年前、この男と共にいた、あの部屋だ。少しばかり、埃っぽいこの部屋。薄ぼんやりしたオレンジ色灯りに包まれている。それは、部屋の片隅に置かれている行燈の温かい灯りのせい。男の白い肌も、俺の肌も、同じ色に染まっている。  俺と男は何度も身体を重ねていた。まさに、貪るように、互いの身体を求め合った。 「ひあっ、あっ、んあっ!」  俺の身体の中を、男の猛ったモノがガツガツと抉る。そのたびに、俺の快楽のポイントを掠め、男に身体を触れられただけで、快感が身体中を這いまわる。目の前にある男の顔が、先ほどまでの優し気なものではなく、まさに俺を喰らおうとするようで、真っ黒な瞳が俺の心を縛り上げている。  すでに身体中は、俺のものとも男のものとも言えない体液でドロドロになっている。そして、いたるところに男に付けられた紅い斑点が散らばっている。将につけられたものが、今ではどれだかわからないくらいだ。俺の身体を愛し気に口づけする姿に、将にされた行為が上書きされていく。男に触れられた感触だけが身体に植え付けられていく。 「くっ、よいぞ……よいっ……ん、やはり、お前の身体はよいな」  男の嬉しそうな声に、身体が勝手に反応してキュウッと中を締めあげる。 「んっ、なんだ、お前も嬉しいか」 「やっ、いや、う、嬉しくなんかっ」 「言葉とは裏腹に、お前の中は喜んでいるぞ」  ニヤリと笑った男の動きが急に加速する。 「ひっ、あ、ぁぁぁっ、あっ、あぁぁっ、あっ!」  無言で抉り続ける男に、俺は無意識に手を伸ばしていた。目の前の男の、少しだけ余裕のない表情に、俺の中の何かが音をたてて壊れていく。 「んっ……あずさっ」 「ああああっ!」  甘く名前を呼ばれた瞬間、俺自身から吐き出された何度目かの熱が、俺と男の腹を汚す。それはすでに、透明に近いもので、勢いすらなく、ただひたすら、垂れ流していく。快感の熱に浮かされている俺のことなどおかまいなしに、男はひたすら突き上げ続ける。 「や、イッてるっ、イってるのにぃ……あっ、あっ……」  自分が発する嬌声が、まるで他人のもののように聞こえる。 「くっ」  小さく呻いたと同時に、俺の中にドクドクと放たれた迸る熱。身体中に快感が染み渡った。
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