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第3話
「ちょっと!何してるんですか!」
椅子を蹴った瞬間に身体がフワリと浮いて、首にかけていたロープが何でか切れた。
ナイフも何も使ってないのに見事に……そして、その後にゴンっ!派手な音が聞こえた。
「痛いいいい」
俺の下から泣きそうな声。
あの幽霊……が俺の下敷きに……助けてくれたのだとこの時思った。しかも、コイツ……触ると微かに体温を感じた……えっ?生身の人間なのか?
「えっ?ちょっと大丈夫?えっ?お前幽霊じゃないのかよ?」
俺は焦って床に転がるコイツを抱き起こす。
「痛いですう」
大きな瞳が涙でじわりと滲んでいる。ぶっちゃけ可愛い!!!
「待ってろ」
俺は照れくさくて直ぐに離れ、頭打っているようだかは冷やさないとダメかな?とタオルを取りに行く。
「どこ打った?病院とか行った方がいいのかな?」
生身ならヤバイよな。頭とか特に!!
聞いているのに、コイツは俺をじっーと見ている……すんげえ見てくる。照れくさいくらいに。
「何、見てんだ?」
「お兄さんイケメンですね」
「は?」
俺の思考回路はこの時止まった。
ナニヲイイダスノダ……コイツハ……。
「先輩が1番イケメンだと思ってましたけど、お兄さんの方がイケメンです」
「お前……」
見つめていると思ったらそんな事を考えていたのかよ!おもしれえコイツ!!
「お前面白い」
思わず爆笑。すると、「わ、笑うと可愛くなるんですね!」とのたまった。
「お前なあ」
照臭いじゃん?それに……コイツの方が可愛い。
「お前の方が可愛いじゃん?お前どっからきたの?」
つい、本音が出た。そして、次に出た言葉にまた固まるはめになる。
「僕……死神の研修中で……その迷子に」
「は?死神?」
何を言い出すんだ?頭打ったからか?思わず聞き返す。
「はい」
元気よく返事しやがった!!
「うそやーん!お前、まだ子供だろ?中学生か高校生くらい?」
みたまんまを口にする。死神とか中二病かよ!!
「し、失礼な!!僕は大人ですよ!」
起こったコイツは立ち上がったけれど、頭打っているせいか俺の腕の中にポスンと倒れてきた。
凄くやわらかくて……凄く甘い香がした。
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