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第8話

あの子を見送ってから直ぐに俺は入院した。 ほんの少しの時間を生きる為に。 だって、まだ死ぬ時じゃないのに自分で命を絶ってしまうと……あの子に申し訳ないから。 もっと沢山、あの子は楽しい事を体験出来たはず……もしも、もしもだよ?あの子がこの世に産まれていたら俺達は出会えたかな? 友達になれたかな? そんな事を考えながら治療を続けた。 そして、生きていて良かったなって思ったのは親と色んな話をした事。 小さい時は名前が変な事にも気付かないでいたから仲良くしていたのだけど、それが原因で虐めにあってからはあまり話していなかった……だから、最後に沢山話せて良かった。 あの子のお陰だ……そして、同級生もなんでか沢山お見舞いにきた……。これには驚いた。 先生も同級生も……俺が近付けば凄く身近な存在だった。 本当に俺は馬鹿だと気付かされた。 そして……ほんの少しだけ生きたいと思ってしまった。 ◆◆◆◆◆ 結局……半年で命が尽きてしまった。 俺はフワフワと身体が浮いて空中から自分の死体を見下ろしている。 両親は号泣で……友達も先生も皆……泣いてくれている。 へへ、すげえなあ。 その光景を見ていたら「あの、すみません」と後ろから声がした。 きたー!!! お迎えだ!!! 今、死んだ事を悲しんでいたのに俺の気持ちは瞬時に切り替わりまた、あの子に会える胸のトキメキで心のメーターは数値を振り切る感じだった。 振り返ると…… おおお? おおう?まじで? スーツを着てメガネをかけているサラリーマン風の男が俺を見ていた。 そして「あの、これ名刺です」と名刺を渡されのである。

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