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第9話
「えっ?あの死神ですか?」
名刺を受け取り聞いた。
「はい。お迎えです」
「あ、あの……死神ってマントとか鎌とか」
余りにも普通の姿に俺は戸惑う。普通にリーマンじゃん?
「ああ、良く中二病にかかった子とか生きてる時にコスプレやってた人が着たがるね……」
中二病って!!!ヒナ!!!
俺は得意げに俺に鎌とマントを見せたヒナを思い出して笑ってしまった。
「あの……ヒナって知ってます?死神見習いの」
「ああ、ヒヨコちゃん?あの子は業務外されちゃってね……雑用やってるよ。本当、あの子だってちゃんと出来るのに……それに死神不足なんだ、困るだよね」
「あ、あの!死神って僕にもなれますか?」
そうだ!死神になればヒナと一緒に居れるじゃん!
「なれるよ、簡単な筆記試験と面接パスすれば」
「思いっきり普通の会社ですね」
筆記試験と面接とか……。
「あ、うちはブラックじゃないよ?ちゃんと定時で帰れるようになってるし」
「あはは、あの世の方がちゃんとしてるって凄いですね」
「そりゃ、あの世に来てまでブラックじゃ嫌でしょ?……さあ、行きますよ!」
俺はリーマン死神に導かれあの世へと向かった。
生きてる時はもう少し生きたいとか思ったのに……もう、ヒナの事で頭がいっぱいになってしまった。
これって何ていうんだろ?
生きてる時は味わった事がない感情。
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