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第10話

あの世の入口に連れてきて貰った。 そこで相変わらずマントを着たヒナが掃除をしている。 「おい!えーと、ヒナだっけ?ヒヨコだっけ?」 後ろ姿に声をかけた。 「シュウちゃん、何でいるの!!」 ヒナは驚いて俺の方へ走ってきた。しかも、シュウちゃんとか呼んでるし……俺だよな? 「シュウちゃん?何だよその呼び方」 「蹴ってシュウって読むでしょ?先輩に教わったんだあ」 「あ、なるほど……」 「なんで?何でここにいるの?自殺しちゃったの?」 「は?自殺?ううん、違うけど?」 そうか、自殺と聞いたのはヒナが止めてくれたからだったな。 「じゃあ、なんで?事故?」 「病気だよ……自殺しようとした前の日にね、俺、癌だって知ったんだ……どうせ死ぬんだから死んでやる!って思った時にお前が来たんだよ……で、死ぬのも馬鹿らしくなってさ、じゃあ、生きれるとこまで生きてやろうって……でも若い分、癌の進行が早くて半年で死んじゃったけどね」 ここに来た理由を告げた瞬間、ヒナが泣きだした。 「おわ!何泣いてんだあ!!」 俺は慌てた……だって、凄く可愛いんだもん。 「泣くなって……ほら、チュウするぞ?」 仲良しのキス……してもいいよね?だって、前はヒナからキスしてきた……だから、顔を近付けようとした瞬間「いい度胸だなお前」と真後ろから声がした。 「先輩!!どーしたんですか?仕事中じゃ?」 「えっ?先輩?ヒナがいつも言う?」 俺は後ろを振り返った……振り返って固まる。 すげえ、長身のイケメンが睨んでいる。 190くらい?結構、筋肉質で迫力があって強そう……そして、ムカつくくらいにイケメン。 先輩ってイケメンじゃないか!くそう!! 「先輩カッコイイでしょ?」 ニコニコしてヒナが言う。 「で、でも、俺は負けないから!死神ってどうやったらなれるんだよ?」 「えっ?シュウちゃん死神になりたいの?」 「うん、ヒナと友達になりたいし」 「わあ!!嬉しい!!先輩聞きました?死神希望者です!足りないって言ってたでしょ?」 ヒナが喜んでいる。これは死神が増えるから?それとも……俺が死神希望だから?どっちだろ?なんて考えていたら、 「まず、お前……裁きが先だろ?来たばかりなんだから」と先輩が俺を睨んでいる。

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