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逢瀬 6
荒い息とともに、俺の上にパタリと倒れ込んだ男の背中に腕をまわす。
男を抱くのは俺が初めてらしいが、素質があるのだろう。回を重ねるたび満足度が増している。そうはいってもまだまだ序の口だ。SEXに馴れた俺だからこそ、快感の源を自分で探ることができる。
SEXはどちらかが巧いだけでは成立しない。互いのレベルが同じ程度、かつ高いことが絶対条件だ。徐々にレベルを上げていることは喜ばしいが、まだまだゴールは遠い。
ずるりと後孔から、やや力を失った陰茎が引き抜かれた。身体の上から横に位置を変え横たわる。肩に額を押し当て脇腹に腕をまわした体勢でまどろむのが、この男の好みだ。無言で乱れた呼吸を整えるのもいつものルーティン。
そしてその呼吸はじょじょに寝息に変わっていく。一緒に眠りたいところだが、今夜はそういうわけにもいかない。
じっと待つ。男が眠りに深く深く沈んでいくまで、動かずに。
じっと待つ。
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