9 / 44

逢瀬 6

 荒い息とともに、俺の上にパタリと倒れ込んだ男の背中に腕をまわす。  男を抱くのは俺が初めてらしいが、素質があるのだろう。回を重ねるたび満足度が増している。そうはいってもまだまだ序の口だ。SEXに馴れた俺だからこそ、快感の源を自分で探ることができる。  SEXはどちらかが巧いだけでは成立しない。互いのレベルが同じ程度、かつ高いことが絶対条件だ。徐々にレベルを上げていることは喜ばしいが、まだまだゴールは遠い。  ずるりと後孔から、やや力を失った陰茎が引き抜かれた。身体の上から横に位置を変え横たわる。肩に額を押し当て脇腹に腕をまわした体勢でまどろむのが、この男の好みだ。無言で乱れた呼吸を整えるのもいつものルーティン。  そしてその呼吸はじょじょに寝息に変わっていく。一緒に眠りたいところだが、今夜はそういうわけにもいかない。  じっと待つ。男が眠りに深く深く沈んでいくまで、動かずに。  じっと待つ。

ともだちにシェアしよう!