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口 /和泉莉緒

その日の和泉は、忘年会帰りで、かなり酔っていた。 そして。 男の顔を見るなり、普段はしないことをして、驚かせてやろうと思い付き、勢いでしゃがみこんだまでは良かったのだが…。 デカっっ! さっき見た時に、これはギリなサイズやわ、って思たのに、まだ大きなるやなんて、反則やろ? 『昂る材料がすぐそこにあるんだ。仕方無いと思わないか?』 た、昂る材料、やて!? ほんま、涼しい顔で、誰に何を言いよるねん。 マジで変態やな! 『変態はそっちだろう。』 クスッと笑われれば、みるみる赤くなって、言葉に詰まる。 「コレは、やな。…さ、サプライズっちゅうヤツや!」 『無駄口を叩くより、別な事で喜ばせてみろ。』 このっ!言うたな!? アムッ、ムグッ …ッ! ごめっ、ち、ちょっとだけ、待ってや。 てか、味するもんやねんな。微妙にニオイもするし? 『当たり前だろう。まさか、知らなかったのか?』 いや。 うすうす気ぃ付いててんけど。 何ていうか、あんまし、深く考えたくないもんやんか? 『もしかして。俺にされるまで、一度も経験したことが無かったのか!?』 うん。せいにされるまでは、1回も無かったで。 って、おいおい、待てや! またおっきなってんで!? つうか、なんでそないに嬉しそうにニヤニヤしてんねん? 『俺が初めてだなんて。嬉しいに決まってるだろうっ!!』 は? なんでやねん?? フツーにエッチするんに、もともと勃ってるもんをワザワザ舐めさせたり、せえへんて。 『ほぅ。…価値観の相違だな。』 そんで、万が一、口でイってしもたら、どないするんや? 『飲めば良い。そうすれば、どこも汚れない。全てはスムーズだ。』 のっ、飲むって!? アレはたしかに色は白いけど、牛乳とちゃうねんぞ! それに、絶対マズいって!! 『味に関しては同感だ。それに初心者に、そこまでは求めない。』 はいはい、初心者ですよーだ。 …マジで、初めてやねんからな!?失敗したって笑うなよ! 『笑われるとすれば、こちらだと思うがな。顔を赤らめて、目を潤ませて必死に抗弁するおまえに、この気持ちを押し付けることも引くことも出来ずに、突き付けたまま、こうして何分も話している。端から見れば、相当マヌケな光景だ。』 あ…。 し、しゃあないな。 ホンマのホンマに笑うなよ? それからオレ、喉ちんこデカいから、あんま奥までしたら、ヤバいと思うねん。堪忍やで? 『喉ちんこ?』 えーと…。 正式には口蓋垂、いうんやったかな? 『ノドビコのことか。』 何でもええわ!やるから、動かんといてな? ンム…チュッ レロッ ジュ、チュ、チュ、…ジュル、チュ、ジュジュ、ン、ん なんや、だんだんコッチが恥ずかしなってきたわ。 『ソコがまたいいんだろう?』 だ、黙れや!どあほっ ウムッ 『自分がされた時のことを思い出せ。舌を広げて…』 ブハッ!! ょ、余計なこと言うなや! 男は睨み付ける和泉の腕を掴み、強引に立たせた。 『…時間切れだ。来い。』 はっ!どこいくねん!? 『浴室だ。』 あ!その前に。トイレっ… 『ヌいて来るのか?』 え。わっ!ぁ…。 『こんなに濡らして…いつからだ?』 「さ。最初、か、ら…や。」 『我慢強いのだけは、褒めてやろう。』 は、ぁ…、あ!あつい!? ピトリとつけられた熱に、目を見開く。 『当たり前だろう。血が集まっているのだからな。』 ゃ、そないにせんといて… いつもより饒舌な口へ、黙れと言わんばかりに、舌が捩じ込まれた。 ん。ぅ、…んふっっ!? 離れようとする後頭部を左手で押さえつけながら、右手は2人分の欲望を纏めて扱いてゆく。 与えられるいつもと違う刺激に、ぼぅっとなり、腰を揺らしつつも ―せいは自分味のちゅーとかでも、イケんねやなぁ。 などと呑気な事を頭の隅で考えている和泉なのだった。

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