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第22話 嘘でした。

 モテるって言われてたし、俺もそう思う。女性人気だってすごいだろうし、男性だってさ、俺含めて、ドキドキしちゃうって人きっといると思うんだ。ゲイでも、ゲイでなくても。  そんな人だから、きっと今まで付き合ってきた相手だって、そりゃ魅力的だと思う。綺麗な人とか、カッコいい人とか。俺みたいな未経験の、ちんちくりんな一般人なんかでさ、この人が興奮してくれるのかなって。確かめたかったんだ。  でも、手を伸ばしてたところで、俺の腰のところにいる千尋さんには手が届かなくて。 「お前なぁ……」  俺の中を本数を増やした指で広げながら、怒った口調で、顔が見えるところまで戻ってきてくれた。この人の指を自分の内側で感じながら、目の前にそのカッコいい顔を見つめるのは、なかなかにドキドキする。 「だって、俺」  動揺しながら、それでも、一生懸命に手を伸ばして、そこに触れたらさ。 「あ……すご、デカい」  硬かった。それが、なんかすごく嬉しかった。 「当たり前だろうが」 「だって」  掌で先端を撫でるとくちゅりって濡れた感触がした。熱くて丸い先のところからなぞって、くびれを指先で触って、竿のところを握ると、千尋さんが顔をしかめてる。すぐそこ、キスできそうなところで、俺の掌が握るだけで、息を詰めてる。俺で、こんなふうになってくれてる。  そう思ったら、きゅんってした。胸のところだけじゃなくて、この人の指で今、拡げられてるお尻んとこも、同じにきゅんってして。欲しがってる。  千尋さんの熱くて硬いのに触れると掌でさえ気持ちイイならさ、きっと繋がったらもっと気持ちイイ。もっと深いコトをしたくなる。 「っ、環」  そう思って心臓が踊り出す。 「ぁ、千尋さん」  俺のをたくさん気持ち良くしてくれた唇から零れる吐息が熱くて、その熱が自分の唇に触れるだけで、おかしくなりそう。 「千尋さ、っん、ンっ……ちひ、ろ、っさん」  締め付ける中を抉じ開けられながら、指で擦られながら、前立腺をちょっと撫でられるだけでもイっちゃいそう。キスで、口の中をまさぐられて、舌でいっぱい唾液が溢れるくらい掻き混ぜられて、唇も、お尻も攻められてる。 「あぁぁっン、んっ……ぁっ! 千尋さんっ」  この人の熱にもっと触りたい。 「あ、やだ、イくっ、ぁ、イっ」  前立腺を押されて、何かが前で弾けるって、視界の星が瞬いた時だった。 「……あっ」  白いのが駆け上っていこうとする竿をぎゅっと握られ、そして、外に弾かせたいってざわめく内側を舐めるように撫でながら指も抜かれてしまう。外に吐き出せない熱を内側に溜め込んで、お尻がジンって痺れた。 「や、だぁ……千尋さんっ」  欲しいよ。 「環」 「ンっ」  キスを自分から貪るように首を伸ばして、この人の舌欲しさに口を開いた。そして、中を、まさぐられるだけじゃなくて、自分からも千尋さんの舌に絡み付いて唾液欲しさに角度を変えて、雛鳥みたいにせっついて。キスの間中、駆け上る途中で堰き止められた熱は弾ける場所を見失って、中で暴れてた。そして、この人の指でトロトロに濡らされた孔が圧迫感を求めてヒクつく。さっきの指で抉じ開けられたみたいなのが、欲しいよ。 「千尋、さん?」  この人がカッコよすぎて心臓破裂しそう。本当にいるんだ。コンドームつけるのさえカッコいい人なんて、そんなものがこの世に存在するんだ。 「あ、あの、俺、やりましょうか? つけたことないから教えてもらわないとだけど、でも、俺のほうの準備とかいっぱいしてもらったから、その手伝いくらいは」 「いらねぇ」  手伝いたいって思ったんだけど。  怒った顔してた。苦しそうな顔で、奥歯で何かを噛み殺すように耐えながら、口でビニールを切って手早くペニスにつけてしまう。たしかに、それを装着したことのない俺は手順さえたどたどしくて、もしかしたら、それだけでやる気は失せるかもしれないけど、でも。 「そうじゃねぇよ」 「え?」 「残念そうな顔しやがって」  だって、俺、してもらってばっかだ。額にこつんって額が当たって、キスしてもらって、フェラもしてくれた唇がすぐそこで熱い吐息を零してる。 「今、お前に触られたらイくだろうが」 「!」 「ぶっちゃけ、さっきお前に扱かれただけでも相当キタからな」 「ぇ? っ、んんんっ」  そんなに気持ち良くできてた? って顔をあげたところで唇を奪われた、舌で絡まり合うように、まるで食べるみたいなキス。 「環、痛かったら、言え」  そのキスの合間に短くそれだけを告げると、また唇に噛み付かれて、舌を差し込まれながら、脚を広げられた。 「ン……イ、です。痛くても」  そう、貪られる唇で途切れがちに告げたら「バカ」って切羽詰った声が怒ってた。でも、本当にいいんだ。 「あっ、あぁっ……ちひっろっ……さ……」  くださいって、俺、思ってるよ。 「環っ」 「あぁ、あっ……っ」  お尻に入ってくる。その熱くて太くて硬くて、すごい存在感。ローションで滑りをよくして痛くないようにって、指であんなにほぐされたのに、 「今、半分だ」 「あっ、ぁっ……ぁ」  嘘みたいに大きくて、息ができない。お腹んとこがいっぱいになってる。抉じ開けられる圧迫感はハンパじゃなく苦しくて、身体が壊れそうなのに。 「全部、入ったぞ」 「はっぁ……っ」  壊れちゃってもいいって思うくらい、嬉しい。 「動くぞ」 「は、いっ……ン、んんんっ、ぁ、千尋っ、さんっ」  引き抜かれるとゾクゾクする。突き立てられると、内側がきゅんってする。ローションのぬめりがあるのに、それでも中に擦り付けられるペニスに自分がきつくしがみついてるのがわかる。絡んで、しゃぶり付いて、俺の中が千尋さんのことをぎゅってしてる。 「あっンっ……ぁ、あ、あぁっ」 「っ、環」  ドキドキする。千尋さんが俺の上で動いて、前後にする度に息もできないような圧迫感に襲われた。この人のペニスが俺の中にあって、擦り付けられて、奥に突き刺さって、硬いまんまのそれが暴れてて。  嘘、じゃん。 「千尋、さん」 「?」  最初は上手くできないかもしれないって、気持ちよくないかもしれないって、そんなの、大嘘じゃん。  手の伸ばしてその首にしがみついた。お尻の奥にもっと千尋さんのペニスが突き刺さるように、貫かれたくて自分からも、大きく脚を大胆に開いて迎え入れながら、俺を揺さ振る人の耳元にだけ、こそっと言ったんだ。 「あっ、やぁっン……ン、ぁっ、ちひ、ぁ、ろ、さ……ンっ、ぁ、イくっ」 「っ」 「奥、すごいの、来ちゃ、ぁ、あっ、あ、前、触っちゃ、ダメって、ぁ、あぁぁ」  気持ちイイです――って、伝えたんだ。 「環っ」 「ぁ、あっ、イくっ、イくっ、ぁ、あああああああっ」  息ができなほどの圧迫感すら快感になって、好きな人の掌にたくさん吐き出して零れてしまうほど、初めてのセックスが気持ちよかった。

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