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第26話 二回目は

 お昼は海辺の近くにあったスーパーでおにぎりとか買って、ちょっとピクニックみたいに海で食べたんだ。百円のシャケおにぎりなのに、海で、千尋さんと笑いながら、砂の上に座り込んで食べたら、とても美味しくて、買いすぎなくらいに買ったはずなのにふたりで平らげてしまった。  すごく美味しいランチだった。  海を眺めて、散歩して、ドライブに山道通って、わずかに染まった紅葉をチラッとだけ眺めて、そんで……千尋さんの部屋に招待してもらった。  初めてお邪魔した千尋さんの部屋は、セレブっぽさのない、独身男性サラリーマンらしい感じがした。豪勢じゃなく、貧乏でもなく。物をあまり置いていないからかスッキリとした、この人らしいシンプルでセンスのある空間。そこに漂うわずかな生活感がセクシーだなぁ、なんて思ってはドキドキしてた。  夕飯は帰りに買った、そこの海で取れた魚で海鮮鍋にした。キムチ鍋。千尋さんは辛いの好きみたいだ。でも、俺がこの前のお店で辛さに悶絶してたから、気をつけてくれたっぽい。辛いけど、美味しくて、スープも飲んじゃった。  ――お前、唇真っ赤だぞ。痛いか?  ご飯食べ終わったら、辛いスープぐびぐび飲んだ俺の腫れぼったい唇を心配して、キスしてくれた。食器片付けながら、顎に手を添えられて、もう片方の手はキッチンシンクに置いて、背中を丸めてキスをする千尋さんはたまらなくカッコよくて、唇に答えながらドキドキしてた。顎に触れられた指に心臓ばくばくだった。 「ン、ぁ、千尋、さ……ンっ」  今だって、心臓、壊れそう。 「やぁっ……ン」  この人のベッドで抱かれてるって、思うだけで、どうにかなっちゃいそう。だから、きっと本当にどうかしちゃったんだ。服を捲り上げられただけで、ズボンの中が熱くなった。心臓のところにキスをされたら、心臓がびっくりして、そんで、熱くなったズボンの中が窮屈になった。唇にキスをされたら、もっと窮屈になって、乳首を摘まれて、指で抓られて、歯で齧られると、たまらなく気持ちに良くて、お腹の底のとこが痺れるような重い熱を持つなんて。 「あっ、ンっ」  舐められて、甘い声をあげちゃうなんてさ。乳首が硬くなって、そんで、この前のことを思い出して、身体の奥がジンジンするなんて。その奥まで貴方を受け入れられるようにって、指で抉じ開けられると震えるくらい感じた。指なのに。 「あぁぁっ……ん、ン、千尋、さんっ」 「お前の中、熱い」 「ん、ぁっだって、ぁっ、ひゃあああああ!」  内側にある粒を指二本で挟むように、ほんの少し押されて、背中が弓なりにしなった。前立腺のとこ。 「あっ、やぁっ……ン、千尋、さっぁっ」 「環」  押される度に電流が身体を駆け抜ける感じ。痛みに近い刺激が何度も何度も押し寄せて怖いくらいに自分の身体は反応してる。でも、怖くはないんだ。  ビクン、ビクンって跳ねて、すごい痛いくらいの快感に、前でパンパンに張り詰めた自分のそれだって、先端から壊れちゃったみたいに先走りが溢れて止まらなくて、知らない自分の身体の奥の熱に戸惑うけど、やっぱり怖くはない。だって、俺の中に千尋さんの指がある。 「あっ、千尋、さんっ」  手を伸ばすと、ちゃんと掴んでくれて、この掌に唇を押し付けてくれる。熱くておかしくなりそうなのは俺だけじゃないって、掌に触れる吐息の熱さで教えてくれるから。怖くなくて、気持ちイイんだ。 「あぁ、ン、それ、イっちゃい、ます」  ぬちゅくちゅエロい音をさせながら、俺の中が貴方を受け入れられるところまで拡げられて、濡らされて、柔らかくなっていく。  前立腺、最初は痛いかもって言ってたけど、でも貴方の指先はやらしくて、俺にとってはとても優しいから、痛くない。  貴方がしてくれることの全部が初めての時よりもずっと気持ちイイ。 「環」  首筋をきつく吸われて甘い声をあげたら、千尋さんが腕で自分の身体を支えながら、覆い被さって、こっちをじっと見つめた。 「これ、ヤバいな」 「ン、ぁ……俺、ダメっ?」 「あぁ、ダメだ」  何がダメなのか教えてくださいって訊きたかったけど、それは無理だった。深く口付けられながら、半裸になった俺はベッドに押し付けられて、一瞬で貴方の匂いに包まれた。角度を変えてキスをしながら、俺の中を柔らかくしてくれた指が抜けていく。  貴方に抱いてもらうのが二回目の俺は、指が抜けて、物欲しそうにヒクつくお尻の奥に次、何をくれるのか、もうわかってる。 「んっ……、ン、んくっ……ふっ、ぁっ」  次はもっと太くて、もっと奥まで来てくれて、もっと熱くて、俺の中を全部埋め尽くしてくれる、貴方のペニス。 「ン、ぁ、千尋、さ……ン」  俺ね、デートなら何度か前に付き合った彼女としたんです。千尋さんが俺にくれるキスに比べたら子どもがするような幼いのだけれど、したことある。  でも、こんなにドキドキしたことは、今までなかったんです。 「……環」  好きな人に名前を呼ばれただけでこんなにくすぐったい気持ちになったことも、実は、なくて。淡白なのかなぁって。高校生で彼女いて、周りの奴らは皆、彼女欲しいってぼやいたり、彼女がいれば、進行レベルをお互いに気にしてたり。進行って、攻略ゲームかよって笑ってたくらい。だからね、ひとりだけいた彼女と、俺はしなかったんです。  ちゃんと好きだったと思うんだけど、タイミングとか場所とか、そういうの気にして進行レベルはキスで終わった。  じゃあ、俺ってもしかして、気がついてないだけで、ゲイだったのかっていうと……多分、違うんです。だって、成木さんもゲイだけれど、俺、きっとあの人に迫られても、その場で「ごめんなさい」っていう。ふたりで飲みに行ってもドキドキしない。その証拠にふたりでデザイン考えながら個室に箱詰めにされてても、ちっとも胸は高鳴らなかった。  貴方に感じたドキドキは沸き起こってこなかった。  男の人が好きなんじゃなくて、次に好きになるのならきっと、女の子で、でも、その時に俺の中にある好きはこんな好き、とは違うものでっていう予感もある。  さっき、海辺でカーディガンしか着てない俺にストールを貸してくれたでしょ? 手を繋いでくれて、指先を絡ませ合いながら、貴方のポケットにいさせてくれたの、すごく嬉しかった。すごく、ドキドキした。 「環」 「っ」  今も、すごくドキドキしてる。キスの合間、息継ぎの瞬間にこうやって名前を呼ばれると、たまらなく愛しく感じる。 「ぁっ……ン、千尋、さんっ」  俺、貴方と二回目のセックスができて、めちゃくちゃ嬉しいんです。 「あ、あの……」  だから、俺もしたい。 「あの、俺にも準備、手伝わせください」  そっと、力を込めずに、でも好きな人をちょっとだけ押しのけて、自分から手を伸ばした。 「環?」 「ゴム、着けるの、俺がやりたい、です」  自分から首を傾げて、舌を差し込む濃いキスしながら、千尋さんの下半身に手を伸ばして、それの硬さにびっくりした。パッと触れて、離れて、今度はもっとしっかり掌で包み込んで上下に少しだけ動かした。ただそれだけでももっと張り詰めてくれる貴方のペニスはちょっと痛そうだから。 「おいっ、環っ」  キスをした。ペニスの先端に、この後、俺の中をたくさん奥まで突いてくれる千尋さんの、一番熱そうに先走りを滲ませる先端にキスをした。 「お、い……んなの、無理、すんな」 「して、ないです」  苦いのに、舐めて、それでもまた滲む液を唇で拭って。丸い先端を口に咥えた。 「おいっ」  他の人のなんてやっぱ無理。口にするのも、キスするのも、触れるのだって、ちょっと無理。でも。 「ン、んっ……ン」  千尋さんのは平気。 「環」  苦いけど、丁寧に舐めて、口で気持ち良くさせたい。 「おい……環、っも、いい」 「んっ」  頬を撫でられて上を向かされば、俺の技術も何もないフェラに気持ち良さそうな千尋さんと目が合った。 「バカ」 「千尋さん?」 「フェラなんてしたことねぇって丸わかりの、下手くそなくせに」  だって、こんなのしたの初めてなんだから下手なのは仕方ないじゃんか。 「最速で俺のことイかせようとすんじゃねぇよ」 「んっ……ン」  顎を持ち上げられて、そのまま深く口付けられた。まるで、貴方のことを気持ち良くできた舌を可愛がってくれてるみたいな、愛撫のようなキスに蕩ける。 「……ン」  気持ちイイキスが離れてしまうのが寂しくて、ちょっとだけ追いかけて、キスをぶつけて、そして、コンドームのパッケージを切った。やり方なら最初ので見たし、その後には千尋さんに手伝ってもらいながら、一度つけたから大丈夫。もうできるよ。 「ん、千尋さん」  俺だって、貴方とするセックスの準備、一緒にできるよ。 「これ、太いの、俺の中に、早く、ください」  ねだりながら、キスをして、その首を引き寄せた。この人を迎えられるように、自分からも大きく脚を開いて。 「環」 「あっ……あぁ……んっ」  さっき握り締めたら熱くてびっくりするほど硬かったそれを身体の奥に招き入れた。

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