「千尋さん……あの……」 　俺、全部初めてなんです。キスより先のことって、貴方としかしてなくて、経験値めっちゃ低くて、そういうテクニック？　みたいなものもないけど。千尋さんにしてみたら、物足りないところもあるかもしれないんだけど、でも、俺はちょっと嬉しかったりするんだ。 　貴方にだけ全部教えてもらえるのが嬉しいって思うんだ。童貞、チェリーバンザイっていうかさ。千尋さんのことしか知らずにいたいなぁって。少女漫画みたいな思考で恥ずかしいけど。 「お前、またすげぇ可愛いこと思ってるだろ」 「へ？　そんな可愛いことっていうか、全然、恥ずかしいことで、あの、俺はっ」 「また次に聞いてやる」 「え？」 「今、聞いたら、なんか、歯止めきかなくなりそうだから」 　いいのに。そんなの止めなくてもいいのに。 　千尋さんがくれるんなら全部嬉しいのに、なんて、思ってるくらいだからさ。自分がこんな恋愛思考持ってるなんて、知らなかったけど。　でも、そのくらい好きじゃなくちゃ、結婚しないでしょ？ 「あ、じゃあ、ひとつだけ」 「っ」 　恐る恐る手を伸ばして、痛いくらいに張り詰めてるそこを撫でた。触れただけで、俺の中がきゅんってなるんだ。さっき自分の指で知っちゃった、自分の中の感触を思い出してしまう。狭くて、きつくて、でも熱くて柔らかい、俺の中。 「っ」 　その中にこの千尋さんが入ってくるって、想像したら、喉が鳴った。 「環っ、俺の前準備はいらない、から、あんま、触るなっ」 　ひそめた眉、苦しそうに細められた瞳、荒く乱れた呼吸。その全部にドキドキして、ゾクゾクして、お腹の底のところが物欲しそうに疼く。孔の口のところが、何かを欲しがって力を込める。 「あの、千尋さん、ひとつだけ、いい？」 　俺と、千尋さんは、結婚するんでしょ？ 「このまま、したいんです」 　自分の言葉に自分の身体が感じてしまう。 「今日、ゴムしないで、したら……ダメ？」 　目を丸くされて、震えるほど恥ずかしい懇願をしてるって思うけど、顔面から火が出そうだけど。一生懸命におねだりのキスをした。びっくりされてもかまうことなく、欲しいものを、思っていることを言葉にした。 「千尋さんのそのまま、して？」 「お前……」 「ダメ？」 　あ……瞳の色が変わった。そんな気がした。俺を組み伏せて、胸の内を伺うように覗きこみながら、こっちを見つめる黒い瞳が濡れて、艶が増したように見える。 「腹、壊すぞ」 「そうなの？」 「あぁ」 　そうなんだ。そっか。そうかもね。知らなかった。中にされたら、お腹痛くなるのか。そうか。 「でも、いいです」 「……」 「千尋さんと今日はこのまましたい。中で、感じたい。やだ？　無理、そう、です？」 「……だから、お前は本当に」 　溜め息が降ってきて、そのまま口の中にも吐息と一緒に「人のツボをごり押しすんじゃねぇ」って苦情が流し込まれた。 「ンっ……」 　口付けが深くて、絡まり合って、擦れ合う舌がやらしい音を立てて、重なる唇の隙間から唾液が零れる。それでも角度を変えて深く濃くなるキスが気持ち良くて、自分からも引き寄せて、喉を鳴らして飲んだ。吐息も全部呑んで。 「ン……ん」 　キスしながら太腿の内側を撫でられたら、孔の口がきゅんと応えた。チラッと視線を下へ向ければ、熱を溜め込んだ千尋さんのペニスが脚の間から見える。 「環っ」 「あっ……」 　孔に触れるペニスの先端が、千尋さんの舌と同じに熱かった。 「千尋さん、ぁ、ン、早く」 　そのまま、挿れて欲しい。俺の指だけじゃ全然受け入れてくれそうになかった、窄まったままだった口を、貴方の指なら嬉しそうに飲み込んで、気持ち良さそうにしゃぶりついた中を。 「あ、あぁぁああぁぁぁぁぁ！」 「っ」 　全部埋めて欲しかった。 「ぁっ、ウソ……」 「っんとに、お前はっ」 　びっくりした。中に突き立てられただけで気持ちよかったって、今、言葉よりも俺の身体が雄弁に伝えてしまう。お腹の上に飛び散った白が、きゅうぅぅっとしゃぶりつく中が、愛しい人に気持ちイイって。 　ゴム越しじゃない。熱が直に俺の中にあって、千尋さんがそのまま俺の中でこんなに？ 「あっ、ン……ダメ、今、俺、イったの、にっ」 「環っ」 「ひゃぁあぁぁぁぁ」 　おかしくなりそう。 「あ、千尋、さんの、ぁ、やだ、何、これ」 「っ」 「気持ちイイの、とまんないっ」 　だから、動かないで。貴方に突かれる度に中が悦んでしゃぶりついて、その形に抉られる快感に嬉しそうにしてる。奥を突かれても、浅いところを揺らされても、激しくても、優しくゆっくりでも。 「やぁぁぁぁぁっ！　……ン、んっ……ぁ、らめっ」 　腰を振って、俺の中を行き来するペニスだけで充分刺激的なのに、中を突きながら乳首にキスしないでよ。 「やぁぁっン」 　ずっとイってるみたい。ずっと、気持ち良くて、一突きされる度にももっと快感が増していく。歯を立てて乳首の先端を齧られたから、また中が締め付けた。でも、その狭くきつくなった中を熱の塊になったペニスが掻き分けるように突いて、根元まで全部くれる。 「あ……ン、深いっ」 　千尋さんで俺の中がいっぱいに拡がる。 　どうしよう。気持ち良過ぎて涙が溢れた。クン、って奥を連続で貫かれる度に瞳が濡れていく。この中、今、大好きな人で埋まったとこに、千尋さんの熱を注がれたい。 「環、締めるな」 「ン、ぁ、だって」 　中に欲しいって、思っちゃったんだ。 「千尋、さんっ、も、イっちゃうっ」 「環」 「出る、からぁ、ぁっ……あっ、あっ」 　熱に浮かされるように俺の名前を呼びながら、激しく優しく攻めてくれる俺の、旦那様。その背中にしがみ付いて、爪を立てて懇願した。 「一緒に、千尋さん」 「っ」 「お願いっ」 　じっと俺を見つめながら、うっとりした表情がとても愛しいんだ。好きすぎてどうしたらいいのかわからないよ。 「ン、ぁっ、奥、来て、くださいっ」 　甘く柔らかく攻められて、蕩けちゃいそう。 　脚を自分から大きく開いて、繋がってるところへ手を伸ばした。ローションが立てる音がすごくやらしくて、まるで蜜でも掻き混ぜてるみたい。蜜で蕩けた奥深くまで、貴方の切っ先が突付いてくれる。乱して、刺し貫いて、しゃぶりつく内側を掻き分けて、抉じ開けて、擦られてく。 「ぁ、千尋っさんっ」 「環っ」 「あっ、あ！」 　壊れちゃいそうなくらい激しく揺さ振られた。折れそうなくらいきつく抱き締めてくれる腕が愛しくて、自分からもしがみついて、濡れた音が激しさを増す。気持ちイイ波が揺らされる度に全身を襲う。 「環」 「あっあっ…………っ！」 　声も出なかった。中でビュクッて弾ける熱に全身が痙攣したように反って、放たれた愛しい人の体液を感じて。 「っ、環」 「ぁ、ン……」 　熱くて、たまらない。 「千尋さん」 「っ」 　俺の中に一滴残らず注ごうとしてくれるペニスにしゃぶりついて、一滴残らず絞り取ろうと中が蠢いて。 「すげ……お前の中」 「へへっ」 　貴方が俺の中で気持ち良さそうにイってくれたのが嬉しい。 「ったく、何笑ってんだ」 「だって」 　だって、好きなんですもん。そう言って告白したら、俺の中にいた貴方がビクビクって暴れて、硬く大きくなった。 「ホント、俺のツボ、連打しやがって」 「あっ……ン、千尋、さんっ」 　甘くて気だるくて、気持ち良さそうな溜め息が嬉しくて、全身で抱きつきながら、その溜め息も飲み込んじゃおうと深く唇を重ねて、二回目のおねだりをしてみた。