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第3話

『…誰かっ、誰かーっっ!』 無駄だと思いつつ、やけくそで叫ぶ。 ──すると… 『はいは~い!』 誰もいないはずの部屋から、なんとも場違いな のほほんとした声が聞こえてきた。 しかも頭上から。 『………え?う、上…?』 声のした方を見上げると、そこには、 ふわりふわりと浮かぶ… ちっさい人の…姿…? は? ……人!? 『…えええぇ!?』 う、浮いてる! 浮いてるっっ!! 『な、な、な…っ!!!』 なんじゃこりゃー!!! 『ちょっと待ってね~♪今、下りるから』 『へ?…え?え?』 下りる? え?来んの? ここに?ここに?? 『ちょ…!ちょっと、ま、待って!』 『うん。だから待っててね~?』 いや!違うっっ!違うんだって!! “怖いから来んな”って言いたいのに ソイツは左右に大きく揺れながら ゆっくりゆっくり下りてくる。 近づくと共にパタパタ 聞こえる音。 目を凝らすと ソイツの背中に半透明の羽が見えた。 『…っ?!』 は、羽!? 羽が生えてるっ!! なになになに!? なんなの、これ! ぽかんとしてる間に 、ソイツは ポスンッと 俺の目の前に着地した。 ああ…来ちゃった! 来ちゃったよ…! 『さて、と♪ まずは挨拶からだね、こんにちは~!』 『…へ? …あ、こ、こんにち…は…』 元気よく頭を下げられて つられて俺も 頭を下げてしまった。 『………』 うーん 思ったほど怖くはないな… でも…格好が、ダサい。 それはもう壊滅的に。 どこで買ったの?っていう ヒラヒラした緑色の服に、ピッタリした白のパンツ。爪先が丸く尖ったブーツ、 極めつけは、頭に大きな葉っぱが乗っかっている。 これ着て 外に出たら確実に白い目で見られる、ってレベルの変な服だ。 ん……? でも、なんか…こういう格好のヤツ テレビとかマンガで見たことあるような… なんだっけ? 思い出そうと、考え込んでいるとソイツは 俺の手をしっかり握りしめ、 にっこり笑って…信じられない言葉を口にした。 『キミも今日から僕たちの仲間だね! よろしくね♪』

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