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※第6話

「なんで……仁……あぅ! ひ……ぁ」  グッと腰を打ち付けられた上に、小刻みに奥を突かれ、佑月は腰から崩れ落ちそうになる。そんな佑月の細い腰を片腕で難なく支え、須藤は更に打ち込んで佑月の感度を最大限にまで高めていった。 「ぁ……ムリ……イカせてくれ……よ……」  「中でイケるだろ? 佑月」 「いや……お願い……」  この後仕事があるため、無茶をしないで欲しいと訴えたいのだが、佑月にはまともに喋れる気力さえもない。何故なら絶頂が近づき、佑月の脚が僅かに痙攣し始めたからだ。それを察知した須藤は徐ろに佑月の身体を反転させ、対面の形にすると、右足の膝裏を高く抱えた。  身体は柔らかい方だが、無理な体勢で腰が悲鳴を上げそうになり、佑月は必死に顔を振る。 「あぁ……ぁ……きつ……」  佑月の腰がシンクに当たって怪我をしないよう、須藤は佑月の両腕を自身の首に巻き付かせる。直ぐに佑月は必死にしがみついた。 「あ……いい……」  須藤との密着のせいで、性器は腹で擦られ、何が何だか分からない程に、ただ快感だけで全身が支配されてしまっている。 「も……イク……」 「俺もイキそうだ」 「んぁぁ……あぁ仁……!」  佑月の絶頂の嬌声は広いリビングルームにまで大きく反響し、意識も一瞬飛ぶ程だった。須藤もほぼ同じタイミングで達したようで、佑月の腹には須藤の欲が放たれていた。佑月も須藤の腹に放ったようだが、先に中でイッたのかどうかは、もはや分からない。  息も整わず荒い息を吐き、意識も朦朧としている中、佑月の目に映った男。それは極上の餌を前にした、野獣そのものの熱い目をした男がいた。今にも飛び掛かりそうで、佑月は身の危険を感じて離れようと身を捩ろうとしたが、それよりも早く須藤に噛み付かれてしまう。 「んふ……んん……」  まだ全然足りてないのだと、口内の愛撫でも分かる。呼吸までをも奪う激しいキス。両胸の小さな突起は捏ねたり、引っ掻いたりと、このまま放っておくと第二ラウンドへと突入してしまうだろう。  しかし佑月はあまりにも自分を知らなさすぎた。人を惹き付けて止まない色香があるということを。特に情事の際に見られる表情は、ノーマルな男でも思わず生唾を飲み、手を出したくなるものなのだ。  それほどに蠱惑的で、須藤の心をも掻き乱しているとは、当の本人は露ほども知らない。ただ今の佑月の頭の中は、須藤から逃れることしかなかった。 「んんー!」  佑月はキスを解いて欲しくて、必死に須藤の背中を叩く。あまりにもしつこく佑月が叩くため、須藤は不満そうに唸ってから唇を離した。 「はぁはぁ……これ以上やったら……暫く禁欲してもらいます」  佑月は敢えて丁寧口調で言う。こういう時の佑月は〝本気〟だ。逆らえば須藤は本当に暫く禁欲生活を強いられる。須藤は観念したように、苦笑いを浮かべる。 「それは困るな」 「おゎっ!」  須藤に横抱きをされた上に、顔中にキスの雨を降らされ、佑月は気恥ずかしくなる。恋人に対してこんなに甘々な須藤など誰が想像出来るだろう。佑月自身でさえ、初めは戸惑ったものだ。実際、今でも戸惑いはあるが、この温もりが心地好くて離れることなど、もう今では考えられないことだった。

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