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第148話

 だけど佑月は嬉しさで直ぐに肩の力を抜いて、おずおずと須藤の舌に絡めた。須藤の舌はそれに気を良くしたように、佑月の咥内を掻き回していく。 「ふ……ん……」  気持ちよすぎて腰に力が入らず、佑月は須藤の腕に縋り付くしかない。須藤は一旦唇を解くと、佑月の膝裏に腕を通し、そのまま持ち上げてしまう。 「え……す……」  驚く佑月の唇を須藤は深く重ねながら、どこかへと歩いていく。扉が開き閉じる音。色々気になることがありつつも、須藤とのキスがあまりにも気持ちよくて、そちらに夢中になってしまっていた。  背中に柔らかな素材が触れる。須藤が佑月の上になる体勢を見て、自分の状況に気づく。そこが須藤の大きなベッドの上だと認識した途端、一気に緊張が高まっていった。 「須藤……さん」 「佑月……」  須藤の熱い眼差し。この目に見つめられていたのに、今までそれが恋情に繋がるとは思っても見なかった。こんなに愛おしそうに見つめてくれているのに。嬉しくて佑月の想いも更に高まっていく。  しかし、須藤と恋人同士と分かったのが、つい数時間前。想いを自覚したのも昨日だ。佑月にとっては急な展開で、混乱してしまうのは仕方なかった。 「佑月、お前を抱きたい」  目の前の須藤は、どんな時でも佑月は愛する恋人だということには変わりなく、触れたいと思うのは当然だろう。  佑月の頬に触れた須藤の手が熱い。佑月の身体もそれに呼応するように熱くなってくる。 「嫌だったら言ってくれ」  その言葉に込められた須藤の想いが分かると、佑月にノーなど言えるわけがなかった。きっと今までの須藤はこんな風に、佑月に同意を言葉で求めてはこなかったように思う。それはお互いが積み重ねていった想いが……育まれた想いの上で成り立っていたものがあるからだ。  でも今の佑月は、須藤と重ねてきた日々の記憶が全くない。だから須藤も佑月への気遣いを見せてくれる。  怖いという気持ちはないが、男同士のセックスが今の佑月にとっては初体験となる。どこで繋がるというのは一応分かってはいても、実際あんな場所に入るのかという疑問があった。 (あれこれ考えても、俺には分からない。だから……)  須藤に全て委ねるしかない。佑月は須藤の美しい漆黒の目を見つめ返し、ゆっくりと頷いた。 「嫌じゃないです。むしろ貴方に触れて欲しいです。ただ……前のようには」  言いかけた佑月の唇に、須藤の人差し指が乗せられる。 「そんな事は佑月が気にしなくていい。お前はお前で変わりないのだからな。まぁ佑月からすれば初めてのようなもので戸惑うかもしれんが、お前を愛するだけだ。なにも心配しなくていい」  佑月は思わず赤面した。

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