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※第153話

「全部挿入(はい)ったぞ」  佑月の額に須藤の唇が落ちてくる。チカチカと目の前に火花が飛び散ったかのような衝撃だったが、須藤の男根が自分の中にいる事を強く感じられ、佑月は嬉しくなった。 「痛くないか?」  佑月の涙を拭いながら、須藤は優しく問いかけてくる。本当は痛みはある。でも心配をかけたくなくて、佑月は首を振って笑顔を見せた。 「大丈夫です。圧迫感がすごいですけど」  佑月は自身のお腹を撫でた。その仕草に須藤の喉仏が上下する。 「あ……なんか……大きくなった?」  佑月は驚いて須藤を見上げた。見上げた先の須藤の目に佑月は息を呑む。獰猛な肉食獣という表現がピッタリな目。この目も退院してから向けられたことがある。今なら分かる。佑月への渇愛が表れているからだと。 「須藤さん……」  佑月はそっと須藤の逞しい腕に触れた。その意を汲んだ須藤は「動くぞ」と言って、ゆっくりと腰を揺らし始めた。 「ん……ぁ」  まだキツいが、痛みがほぼ無いことに、佑月の全身には力が抜けていった。それに合わせた抽挿が始まる。  本当に須藤と繋がっているのだと、佑月は強く実感出来た。腹の圧迫感と、後孔の襞が目一杯に広がり、裂けてしまいそうな感覚はあるが、それよりも幸せが勝る。 「須藤さん……気持ちいいですか?」  佑月の問いに、須藤は何故かバツの悪そうな顔をする。気持ちよくなかったかと、佑月の心は少し萎んでいく。 「そんな顔するな」  須藤は慰めるかのように、佑月に軽いキスを唇に落とす。 「気持ち良すぎて、挿れた途端にイきそうになった。お前の中が最高すぎて……おい、そんなに締め付けてくれるな」  須藤が少し焦ったように言うが、佑月は締め付けたつもりなどなかったため困惑したが、後ろが熱くなっていることは良く分かった。 「須藤さんが気持ち良くてよかった……」  佑月が微笑むと、須藤が「馬鹿か」と本当に愛おしそうに目を細めた。 「二人で気持ち良くならないと意味がないだろ?」 「……は、はい」  セックスでも自分勝手な行為はしない。佑月だけが、須藤だけが気持ちいいではなくて、お互いがと言ってくれる。須藤の愛情の深さというものが、ここでも強く感じる事が出来て、佑月は本当に幸せだった。佑月の想いもどんどんと募っていく。一時間前よりも、十分前よりも、いや、この瞬間にも想いは大きくなっていっている。 「すど……さん……っ」 「佑月」  須藤の腰使いがどんどん大きくなる。違和感しかなかったそこは、身体が慣れていることもあるのか、直ぐに須藤の一つ一つの動きに感じられる佑月がいた。 「あっ!」  須藤のカリの部分が佑月の良い所を擦ってくる。そこを念入りに擦られては、不意打ちのように奥を突かれて、須藤が言っていた通りに、声を抑える事が出来なくなっていた。

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