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※第154話《二人の想い》

 シーツをずり上がる佑月の背中に須藤は腕を通すと、そのまま自身へと引き寄せていく。繋がったまま須藤と向き合う形、いわゆる対面座位だ。 「あ……深い……怖い」  佑月はあまりの深さに戸惑い首を振った。須藤は「大丈夫だ」と言い、佑月の顔を引き寄せて深いキスをしながらも、下から小刻みに突いてくる。 「ふ……んん」  佑月は無理やり須藤の唇を解くと、首筋へと抱きつき、腰を浮かした。 「須藤さん嫌です、それ。怖いです。なんか変なんです」  串刺しにされたような、内蔵も押し上げられている感覚は確かに怖いのだが、それとは別に何かが迫ってきてることの方が怖かった。 「本当に嫌か? 嫌なら無理強いはしない」  須藤の手が佑月の太腿を撫でていく。ゾクゾクと身を震わせる佑月の目を見つめながら、須藤は再び佑月の腰をゆっくりと落としていった。 「あっ……ぁ」  ズクンと腹に響く須藤の雄。戯れのように緩く肉筒を擦られ、前立腺もかるく掠められていく。 「もう一度訊く。本当に嫌か? どうだ?」  優しい声だが、その目は全て見透かしている。佑月は涙目になりながら、首を振った。 「イヤ……じゃないです」  ゴーサインをもらった須藤には、もう遠慮がなくなる。下から容赦なく突かれ、こんな奥でも気持ち良い所があるのだと教え込まれた。  この体位もきっと、以前からしていたから須藤に遠慮がないのかもしれない。だけどちゃんと須藤は、佑月の気持ちを優先してくれていた。以前は好んでしていたとしても、ちゃんと今の自分の気持ちを聞いてくれた事が、佑月にとっては嬉しかった。  それから二人は明け方近くまで愛し合っていた。次の日の仕事のことなど忘れて、ただただ目の前の愛しい男にお互いが夢中になっていた。 「須藤さんの体力……本当に凄いですね……。俺の全身なんてガクガクしてて、もう指一本動かせそうにないです」  一瞬気を失っていたようで、目覚めると全身が鉛のように重くて佑月は驚いた。  須藤は佑月の頬を撫で、白い肩から腕にかけて指を滑らせていく。それは今の佑月には強い刺激にもなって、身体がいちいちと反応してしまっていた。 「佑月をこの腕で抱けると思うと、止まらなくなった。どれだけ抱いても、もっと欲しくなる」  今は照明が落とされ薄暗い部屋だが、須藤の表情はよく見える。まだ佑月を見つめる目が熱い。 「もう俺は何処にも行きませんよ。ずっと貴方の傍にいます。もう一人にはさせないです」  言い終わると同時に須藤が唇を重ねてきた。優しい優しいキスだ。 「あぁ。それは心配していない。これからどんな事があっても、俺は絶対にお前を諦めたりはしない。だから佑月は、いつでも佑月のままでいればいい」 「は……い」  あまりの嬉しさで佑月はまた声を詰まらせた。溢れる涙は止まらない。  須藤は佑月を引き寄せ、逞しい胸の中に大切な宝を守るように抱きしめていった。  須藤の執着は肌身でも感じた。今まで我慢していたものが解き放たれたのだから、佑月を強く求めていた事もあるだろう。しかし須藤の場合は今のこの一瞬だけではなくて、これからの長い長い時を、ずっと愛してくれるのだと思わせてくれるから、佑月は心の底から安心出来た──。  

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