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第160話
「これから思い出をいっぱい増やしていきましょう。温泉にも行きたいし、海外にも行きたいですし」
「あぁ、そうだな。行こう」
佑月と須藤は今後のデートプランなどを話して、盛り上がった。
夜も更け、佑月は風呂から上がると、先に風呂へ行ってリビングで寛いでいる須藤に、挨拶をと顔を出した。
「須藤さん、お先に寝ますね。おやすみなさい」
「佑月、何処で寝るつもりだ?」
須藤は持っていたブランデーのグラスをテーブルに置くと、佑月の傍へとやってくる。
「自分の部屋で寝るつもりですが……」
何か不都合でもあるのかと、佑月は僅かに首を傾げた。
「今夜から俺の部屋で寝ろ」
「……い、いいんですか?」
「あぁ、俺たちの間で遠慮するものは、もうないだろ?」
佑月は嬉しくて大きく頷いた。
「俺も直ぐに行く。先にベッドに入ってろ」
「……はい」
返事をして、佑月はフラリと須藤の部屋へと入る。その様子を、何か心配そうにじっと見つめていた須藤がいる事には気づかずに。
大き過ぎるベッドに上がると、佑月は途端に落ち着かなくなる。ドキドキと胸の鼓動も大きくなっていく。
「今夜も……するのかな?」
大学の時に付き合っていた彼女とのセックスは週に一度、もしくは二週間に一度という時もあった。若いのにかなり淡白なものだった。それでフラストレーションが溜まるといった事もなかったが、今思えばかなり彼女を不安にさせていたのでは。
(恋人として最低だったな……)
今更しても遅い反省をしていると、部屋の扉が開く気配がした。まだ五分も経っていない。佑月はどうすべきか迷って、寝たフリをしようと目を閉じた。起きていたら、いかにも待ってましたと思われそうで恥ずかしかったからだ。
須藤がベッドへ上がってきて、佑月の背中側へのシーツに入ってくる。無駄に一人緊張してしまっていた。
「佑月?」
佑月の耳に吹き込まれる甘い美声。起きていることは完全にバレているようだ。
「……はい。須藤さんももう寝るんですか?」
まだ零時すぎ。須藤が寝るには早すぎる時間だ。
「そうだな。たまには早く寝るのもいいかもな」
まさかという思いで後ろへと顔を向けると、不意打ちのようにキスをされる。軽く合わされた唇は徐々に深くなっていく。
巧みなキスに寄っていると、下腹部にはいけない火が灯りだした。
「んん……」
佑月が身をよじると、須藤は唇を離して、次に首筋へと滑らせていった。
「あ、あの須藤さん……ちょっと待ってください」
軽い抵抗を示すように須藤の厚い胸板を押す。
「今夜はしないから安心しろ」
そう言いながら須藤の唇は、今度は項に落ちた。
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