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第5話

「大丈夫だから、落ち着いて。俺は、来栖 朔。名前は?」 「っない、です」 とうとう目から涙がこぼれ落ちた。 頭を撫でると、嗚咽を堪える動きが激しくなる。 「名前ないのか?だったら、決めないといけないね」 何がいいだろうか。 悪魔、デビル? 「アルは?」 こくこくとうなづき、心なしか少し嬉しそうに見えたのでアルでいいだろう。 「ひ、ひろって、くださって名前まで……ありがとうございます」 「どういたしまして、アルは何であんなとこにいたの」 「……にげていたらっ、おちてしまって…重罪…なのに」 何から逃げたのかとか、君は何とか、どこから落ちたのとか聞きたいことはたくさんあるけど、いったん置いておく。 アルのお腹が控えめにくぅとなったのだ。

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