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第6話

もう11時で、アルはきっと昨日はほとんど食べていないだろうから当たり前だ。 「ご飯にしようか。普通のでいいの?」 「すっすみません。」 照れているのか真っ赤になるのが可愛らしくて、笑ってしまった。 それに気づいたのか、アルはますます縮こまってしまう。 一度抱き上げて、ソファの上にアルだけを残して立ち上がった。 「座っといて。寒かったら言ってくれたらいいから」 「僕が、つくります。」 「それは、またの機会にしようかな。あー、勝手にソファから降りたり、毛布外したりしたらだめだからな。そのままでいろ」 子供のようだしオムライスでいいだろうと、ささっと作った。 「お待たせ。こっちおいで」 ダイニングの方へ呼び寄せると、降りてとことこと歩いてくる。 なんかひょこひょこしてる。 と、ここで思い出した。 こいつの足、爪がない。 「ごめん!ちょっと待って!」 「っはい」 駆け寄り、抱き上げるとアルはひゃっと声を上げた。 「ばか。歩きづらいんだったらちゃんと言って」 「すみません。でも、あの……歩けます………」 「足の爪無くなって歩けないの当たり前だから。がんばるのと無理するの間違えたらだめ。」 「……はい。ありがとうございます」 驚いたような顔で見つめられ、頭を撫でる。 ふわふわの髪が心地いい。

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