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第8話
食器をすべて片付けたあと、うつむいたままのアルを膝の上にのせて座った。
「何も心配しなくていい。俺がアルを傷つけることは絶対にないから。
それと、少しでも気になることがあるなら、すぐに言って。」
本当に小さく、聞こえるか聞こえないかくらいの声ではいと呟いたアルの頭をわしゃわしゃとなでた。
「アルはどこから来たの?」
「わ、分からない…です。何かから逃げててっ、それはダメなことでっ。
でも…何でに、逃げてたのかも、どこにいたのかも…分からないんです……」
目に涙を浮かべ始めたアルに少し同情した。
「何も覚えてないなら、これから俺と思い出を作っていけばいい。とりあえず……服を買いに行かないとな」
「服、ですか?」
ズボンはベルトで何とか履かせることができた。
一番きつくしてもまだ余裕あるって……。
上の服は少々だぼっとしているがまあいいだろう。
そこで一番の問題が出てきた。
アルが一人で歩けないことだ。
アルは歩けますと言い張るが、さすがに俺が歩かせたくはない。
結局、俺が抱っこをしておくことに決めた。
片手だけでも抱っこを出来てしまう軽さに驚いた。
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