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第9話
「あっあの、だっこなんてしてもらったら……腕、疲れちゃいますよ…?」
「もっと太ってから言え。今のアルじゃ全く疲れない。」
アルは車には乗ったことがなかったらしく驚いていた。
「どこへ、行くんですか?」
「んー、ショッピングセンターって分かるか?色んなものが置いてある」
「すごいです……ね」
アルの目が少しキラキラしたように見えた。
楽しみにしてくれているのだろうか。
そういえばこの時期ならクリスマスツリーも出ているだろう。
アルは喜ぶだろうか。
「アル、着いたから起きな?」
「あっす、すみませんっ。勝手に…寝てしまって…」
「俺に遠慮することは無いから。寝るのはいい事。」
また縮こまるアルを抱き上げた。
ぶかぶかの服を少しでも隠すために、俺のコートで包むと、アルはその匂いを嗅いでほっとしたような顔をした。
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