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第10話

駐車場でもそうだったが、店の中に入るとさらに視線が増えた。 そりゃそうか。 中学生くらいの少年をずっと抱っこしてるんだから。 アルは人の多さに驚いたのか、俺の服をきつく握りしめている。 正直すごく可愛いく、庇護欲がそそられる。 服や靴を選んだあと、ツリーへと向かった。 「あれ、は……なんですか?」 「クリスマスツリー」 「すごく綺麗です……」 アルはじーっとツリーを見つめている。 ツリーへと伸ばしかけた手をおろしたアルは、またツリーを見る。 「そんなに気に入ったか?アルと同じくらい綺麗だ」 「そんなっ僕は……汚れてます」 「アルは汚くなんてないから。それより、家帰るぞ。服を着てみてほしい」 アルは自分の手を見つめ、その手を握りしめた。

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