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第17話

「アル、目覚ませ。操られてるだけだから。ほら、こっち見て」 フェルから目をそらさないアルを無理やりこっちに向けさせると、はっと息を飲んだ。 「朔っ朔!朔!」 アルにきつく抱きしめられる。 「甘やかしてもらってますね。主人を呼び捨てで呼ぶなどと、いつ教えましたか? 今も抱き上げてもらっているだなんて。また、他人に迷惑を掛けているんですか?」 「ごめっな…さい」 俺に回していた腕もほどき、降りようともがいている。 もちろん、そんなことはさせるかときつく抱きしめた。 「アルを困らせるのはやめてください。俺はアルの主人ではなく、友人です。」 フェルはくすっと笑った。 まさしく天使の笑いと言っていいほど、綺麗だ。 「あなたはこちらに帰りたいでしょう?」 「…………い、」 それだけ言うとアルは黙り込んでしまった。 いいえと言おうとしたのだと信じたい。 「アル、何も心配しなくていいから、本当に思ってる事言ってみな?」 「…………………朔と、一緒に……いたい」 アルはもう一度腕を回し、俺に抱きついた。

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