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――その後。
「いっ……てぇ」
後始末をぬかりなく終え、シャワーを浴びてからは居間に場所を変え、ソファで横たわっていた。
鉛の様に重い腰、さすったところで和らぐはずもなく、怒りだけが込み上げてくる。
「兄貴……、ちょーやらしかったなー」
「……あァ?」
鈍痛に苦しむ此方を余所に、塁だけは終始ご満悦な様子で、先程までの情事を思い出している。
明らかに、空気が読めていない。
「やべえー、やべえってマジ! すんげえエロかったっつうか」
ガツッ……!
「でっ!! なにすんだよ兄貴ー!!」
尚も言葉を続け、一刻も早く忘れたいあんなことやこんなことを、今にも口走ろうとする塁に向けて渾身の蹴りを喰らわす。
コンノヤロオォッ……!
なんで俺はこんなアホでバカでどうしようもねえ弟なんかに……!!
「テンメエェッ……、分かってんだろなアァァッ……」
「アレ、アレッ!? もしかしなくても怒っちゃってる!?」
「ったりめえだろこのクソボケーッ!! ブッ殺してやっ……! い、でえぇっ!!」
しかしながらブッ殺せるのは、まだまだ先になりそうだった。
く、くそ……!
腰が、い、いてえぇっ!
こ、このクソ塁マジでブッ殺してやっかんな!!
ちくしょーちくしょー!
思うように動けねえ~!!!
《END》
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