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***  そして、土曜日がやってきた。今日は部活も休みだし、超久しぶりの遊園地をめいっぱい楽しもう!!一番の目的は宇佐木をその気にさせること、だけど!  まぁ俺は勝手に昂平とイチャついてればいいんだし、周りにバレないように地味めな格好で行こうっと。  ピンポーン 「おにーちゃーん!コーヘイくんが来たよー!」 「おー、上がってもらってー」  俺はまだ準備が万端じゃないんだ!髪型はどうしようかなー。  階段を上る音がして、しばらくすると昂平が顔を出した。 「おはよ、早いな昂平!」  今は10時半で、千歳くん達との待ち合わせは11時半だ。現地集合だけど。 「……」 「昂平?」  俺を見るなり、口をぽかんと開けて無言になる昂平。え、何何。俺、そんなにおかしな格好してるか?  ちょっと衿ぐりの開いた白いカットソーに、ちょい大きめサイズのグレーのパーカー、差し色で派手色のストール(パープル系)を軽く首に巻いて、ボトムは細身の黒パンツ。普通の格好だよな。むしろ地味めな。ちょっとボーイッシュな女の子風を意識したけど。ちなみに靴は赤のコンバースにする予定だ。 「理音……、なんでそんなに可愛いんだよお前は……!」 「え?」 「ああ――っやっぱりダブルデ―トとか了承するんじゃなかったっっ!!大体ダブルデートって何なんだ!!お互いラブラブなんだから別々でいいだろうが!!」  ちょっ、何で人の部屋で頭抱えて絶叫してんだこいつ!?カノンが「えぇっ!?」て顔で覗いてるからぁぁー!!  とりあえず俺は昂平の頭を一発殴って落ち着かせた。カノンには「あっちに行ってなさい」と言い聞かせて。 「おまえな、俺たちは今日は千歳くんに協力するために行くんだから。目的は千歳くんと宇佐木をラブラブにさせることなんだよ、俺達がラブラブするんじゃねーの!……まあ……宇佐木に見せつけるためにラブラブしなきゃいけない、んだけど」  俺は姿見の鏡の前に立ち、うっとおしい前髪をヘアピンで一本、二本と留めながら言った。うん、これでダテメガネでもすれば俺だってバレないだろ。 「けっこう面倒くさいんだな千歳。うさぎどんとラブラブになりたいならそのキラキラしたお顔をめいっぱい活用すればいいだろうが!神レベルのイケメンの癖に何をウダウダと悩んでるんだ、意味が分からん」 「だからそれが通用しなかったんだろ、宇佐木には」 「目が悪すぎるだろ、うさぎどん!」 「いや、そういう問題じゃねーから」  そりゃあ、俺だって昂平と二人でデートしたかったけどさ。でも今回ばかりはね、お世話になってる千歳くんに恩返しできる機会だし……。  昂平は巻き込んで悪いなって思うけど、自分の方が宇佐木とは仲良いくせに、ちょっとは失恋した友人を慰めてやろうとか思わないのだろうか。  まあ、宇佐木にとっては余計なお世話かもしれないけど……。

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