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「ひぃっ!!」 「すげえ、セットの美術手ェ込んでるなぁ」 「ふわわわぁぁ!!」 「ははっ、面白い顔のオバケだな~」 な、なんだよこの、俺とシンジの温度差!!シンジに先を歩いてもらってるけど、俺は入って5メートルも歩かない内に、病院風の造りの中にかなりびびらされていた。 こ、こ、恐い……!!マジで恐い!! なのにシンジは、ホラ―ハウスの作りやオバケ役の人のメイクに感心するばかり。どうしてそんなに冷静に見れるんだよ!! そう言えば先ほどからぱったりと、理音くんのけたたましい悲鳴が聞こえなくなってる。リタイアしたんだろうか、それとも気絶でもしたのか……それやばくない? 「あおい」 「ぎゃあっ!!」 急にシンジに声をかけられて、思わず大きな悲鳴が洩れた。 「いや、俺にびびんなよ」 「むりむりむり」 心臓が早鐘のように打っている。いや、マジですっげービビったし!! 「ほら」 スッと、シンジから手を伸ばされた。 「さすがにこの中なら、手ぇ繋いでも怒らないだろ?」 「………」 「あーおーいー」 ……俺は、ズルイ。 さっき自分が思い切り手を振りほどいたからなんかバツが悪くて、どんなに恐くても自分から手を繋いで欲しいとは言い出せなかったんだ。シンジの方から手を伸ばしてくれるのを、実は密かに待ってた……。 「ごめん……」 謝りながら、俺はシンジの指に触れた。 「なんで謝るんだよ?」 シンジは、そんな控えめな俺の指先を捕まえるようにギュッと手を握ってくれた。少し困ったように、笑いながら。

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