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俺……普通にできてかな。先生の彼女、俺のこと変に思わなかったかな。俺が保健室に入りびたっていたことも、ちゃんと理由付けできたかな。先生にも、伝わったかな。もう俺は、あなたのことは何とも思ってないですよって……。
小野先生、シンジのこと、俺の恋人か何かだって思ったかな。思ったよな?
だってあんなに自然に腰抱かれて、嫌がりもしないで。ただの男友達だったら、普通こんなことはしない……。
「あおい」
いきなり名前を呼ばれて、ビクッとした。横を見ると、シンジの顔が凄く近い。そういえばホラ―ハウスに入る前にサングラスを外していた。いつもとは違う、太陽の下で端正な顔に見つめられて、思わず心臓が止まりそうになった。
周りでは、『千歳シンジがいるよ!』『嘘!本物!?』って女の人が騒いでいる。当然、隣にいる俺の存在も気付かれている。
早く、離れないと。シンジに迷惑が……
「あおい、ちゃんと息して。……ゆっくり深呼吸して」
「え……?」
「もう、無理に笑わなくてもいいから」
な、に……?
「こっちおいで」
シンジは俺の左手を掴むと、いきなり早歩きし始めた。行先は決まってあるように。
どこに行くんだ?もしかしてホテル、とか?さっき行きたがってたもんな。いいよ、どこでも。どこでもいいから、俺を連れて行ってよ。アンタと一緒に居ても、誰にも何も言われないような場所に、はやく……。
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