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* 「ジェットコースター……?」  シンジが俺を連れてきた場所は、始めに乗ったのとは違うジェットコースター、絶叫マシンだった。なんでまたこんな場所に……?  疑問符を浮かべる俺を無視して、シンジは『並ぶよ』と俺の手を引く。離れなきゃって思ってるのに、手が振りほどけない。それはシンジの力が強いから、だけじゃない。  俺が振りほどきたくないからだ。頭では分かってるのに、身体が言うことを聞かない……。 「ねえ、あれ千歳シンジじゃない?」 「わ、ほんとだめっちゃイケメン!!」  こんな目立つとこにいるから、また見つかってるし……。 「あおい」 「な……何」 「周りのこととか、気にしないでいいから」 「え?」  周り気にするなって……無理だろ。ていうか手繋いでるの、見られたらやばいし。隠し撮りされてネットに流されたりしたらどうするんだよ。  でも、シンジは一向に手を緩めてくれる気配はない。何を考えてるんだろう?本当に分からない。 「次のお客様、どうぞー」  係員に促されて、俺達は一番先頭に乗り込んだ。うわ、先頭とか……一番恐いのは最後尾だっていうけど、こっちだって普通に恐いし。 「あおい、……泣けよ」 「えっ?」 「あの先生に失恋したあと、一度も泣いてないんじゃないのか」 「……!」  どうして……  どうして分かったんだ?シンジ……  でも、でも俺は泣かなかったんじゃなくて、泣けなくて――  ガタン、と音を立ててジェットコースターが動き出す。 「この、意地っ張りウサギ」 「は?」 「本当に不器用で……見てられねえんだよ」 「……」 「何?プライド?泣くことで、何かに負けるとでも思ってんのか」  シンジの声は、いつもの優しいト―ンじゃなくて、少し厳しめのトーンだった。俺は、何故か何も言い返せなくて……  じわじわと、ジェットコースターは空に向かって上昇していく。

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