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「何であおいがそんなに気ぃ張ってるのか俺にはわかんねぇけど……、失恋したからって、あおいが先生に恋していた時間が無駄になったわけじゃないよ」 「え……?」 「あの先生のこと、本気で好きだったんだろ?だから、泣いたら……先生に振られたんだってことを自分で認めるみたいで嫌だったんじゃないのか?」 「……!」  どうして、シンジは……  ああ、眩しい。  太陽が、眩しい。  眩しくて、じんわりと目のふちに涙が溜まってきた。 「思いっきり泣けよ、あおい。そんで、先生に振られたんだって認めて、納得して、……そのあとは自然に俺のことを好きになればいいよ。思いっきり甘やかして、癒してやるからさ」  自然に好きなればいい、なんて……  随分簡単に言ってくれる。 「……俺が意地っ張りなら、アンタは自惚れ屋だな……」 「ハハッ、だって俺が付けこむ隙は与えてくれるんだろ?」  ガタン、  ジェットコースターは頂上まで来ると、数秒間停止した。目の前には、普段は見ることのない見晴らしの良い景色が広がっていた。  きっとこの景色のどこかに、小野先生と彼女はいるんだ。 「っ……」  ジェットコースターが、激しい音を立てて下降していく。 「――ッ……!!」  先生、小野先生。  好きだった、大好きだったよ。  いつもダルそうで、そっけない態度だったけど。俺を見捨てないで、困った顔で笑って、保健室に居ることを許してくれた。  小野先生のこと、本当に誰よりも大好きだったんだよ。  先生の隣に居れるのは俺じゃないってこと、本当はずっと前から分かってた。先生はノンケで、男の俺を好きになる可能性なんか万に一つもなかった。それでも俺は、先生を好きなことは止められなかった。  でも、もう、やめるから。本当に今日限りで、未練ったらしく想うの、やめるから……。  やめれる自信はあるんだ。だって俺の横には今、あの千歳シンジがいるから。  ねえ、シンジ。さっき俺に言ったセリフ、信じてもいい?  信じる信じないは別としても、もう遅いんだけどね。  だって俺はもうとっくに、アンタに絆されちゃってるから……。

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